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2006年05月06日

●「陰日向に咲く」

今週のJ-wave「TOKYO CONCIERGE」(日曜日21:00)のゲストは劇団ひとりさん。
そう、現在処女小説「陰日向に咲く」が売れに売れまくっているあの劇団ひとりさんだ。
陰日向に咲く

実はこの小説、ちょっと前に読んでいた。
お笑い芸人の余興とは思えないほど小説として完成度が高く面白かったので、ぜひ話を聞きたいとずっとオファーしていたのだ。

この作品の仮タイトルが「都会の隅っ子」だったとか、映画化の話も来ているが自分としては乗り気ではないとか、裏話満載。
もう読んだ人はもちろん、これから読もうと思ってた人も楽しめるトークになったと思う。
よろしければ、ぜひ。

●「ナイロビの蜂」

「映画の天才」試写で「ナイロビの蜂」を観た。

雄大なアフリカの大地を舞台に描かれたラブストーリー。
イギリス外交官の夫が、殺された妻の生前の行動を追ううちに真実の愛に気づく…という物語なのだが、一方で大手製薬会社が貧しいアフリカの人々を騙して人体実験を行っているという社会派の要素があって、むしろ映像的にもそのインパクトが強い。
配給会社としては宣伝が難しい作品だろうなと思う。
まぁ、最大公約数の関心を誘うにはラブストーリーとして売るのが正解なんだろうけど。

いい映画だと思う。
だけど、個人的に今ひとつ乗り切れないのは、主人公の夫婦に感情移入しにくかったから。
官僚と製薬会社の癒着を暴こうとするNGOのメンバーであり、その陰謀に巻き込まれて殺される妻は理想主義者に過ぎて、いい加減人間の僕には近寄りがたい。
一方、ガーデニングが唯一の趣味で事なかれ主義の夫(原題の「The Constant Gardener」は彼を比喩的に指しているのだろう)はいかにも官僚的でさえない男。
後半になってようやく映画ヒーローらしい動きを見せるのだが、そのモチベーションが上記の妻への愛だというところで僕は一歩引いてしまうのだ。

この辺がハリウッドではないイギリス映画たるゆえんなんだろうな。
画に描いたような典型的なハリウッドヒーローやハッピーエンドに食傷気味の人には新鮮だと思う。
ああ、妻のキャラにもうちょっと自分を疑う謙虚さというか人間的な深みがあったら、かなりグッと来ると思うんだけどなぁ。