朝9時ちょうど。電話のベルで叩き起こされる。
誰だよ、こんな早くに…。
寝ぼけながら受話器を取ると「はろ~。でぃすいず●△□×※。なんたらかんたらアパートメント----」
あっ、申込書を出してきたアパートの管理人さんからだ。
一気に目が覚める。

我が家で電話を取るとき、一応「Hello?」とは出るものの、これまで英語で電話がかかってくることはほとんどなかった。
英語で電話をかけなければならないケースは何度かあったが、こちらからかける分には心の準備というものがある。
実際には伝えなければならない内容を英作文のメモにしてからかけられるし。
だが、今回の寝起きを襲う電話にはあたふたしてしまった。

必死で聞き耳を立てるとどうやら「あなたに入居してもらうことになりました」「マネーオーダーを作って来て下さい」「他に待っている人もいるので早く決めて下さい」ということらしい。
とにかく「サンキュー」と答える。
「入居希望日はいつですか?」「今週の木曜か金曜を予定しています」
「マネーオーダーの受取人は…」「スペルは何ですか」
「決めていただけるなら今夜にでも電話で教えて下さい」「分かりました」
というような会話を寝ぼけながらしていたらあっという間に終わってしまった。

ふぅ。
何とか概要は聞き取ったつもりだが、細部には自信がない。
特にマネーオーダーの金額と受取人のスペルを間違えてしまったら目も当てられない。
銀行に行く前に直接会ってもう一度確認しよう。
と思った瞬間に睡魔が襲ってきて二度寝してしまった。

昼過ぎに起き出して、さっきの電話メモを片手にアパートを訪ねる。
インターホンを鳴らすと管理人さんの奥さんらしき人が顔を出した。

「109号室の入居を申し込んでいる者です。今朝、ご主人からお電話をいただいたのですが、いくつか確認したいことがあって…」
用意してきたメモを見せながら受取人のスペルと金額を確認してもらう。
「これからマネーオーダーを作って、明日の午後もう一度参ります」
「My name is Suzuki. See you tomorrow!」
奥さんはニッコリ笑っている。これで大丈夫だろう。

その足で口座を持っているBank of Americaへ。
郵便局ならマネーオーダーを作る手数料が安いのは知っていたのだが、$1000以上の現金を持ち歩きたくなかったのだ。
銀行なら自分の口座からその場で引き落としてもらえば済む。

列に並ぶこと10分。
マネーオーダーを作りたいと伝えると、自分宛にその金額の小切手を切るように言われる。
そうか、引き落としじゃなくてそうやるのか。
それなら郵便局でも同じだったかな?
ともかく入居月の家賃$700とセキュリティーデポジット(保証金)$645の計$1345の小切手を作ってもらう。
手数料は$6だ。

あとは明日このマネーオーダーを持って行けばいいだけだ。
「今夜、電話を下さい」というのはすっかり忘れていたけれど、大丈夫かなぁ。
奥さんに直接言ったから大丈夫だよな。うん。