今日の授業はちょっと面白かった。
何が面白かったって、鬼のフーバー教授の本性を垣間見ることができたような気がするからだ。

期末試験まであと3日。
今日の授業はエッセイにおける「議論」についてだった。
あるテーマについて自分の意見で読者を説得するためにはそのテーマについての賛否両論を把握しておかなければならない、という説明の後、練習問題。

「アメリカ合衆国は移民を制限すべきではない」というテーマについて考え得る賛否両論の理由を考えワンセンテンスで述べよ、という問題。
否定側の根拠を示すよう指名された僕は、黒板に出て「移民を無制限に認めると治安の悪化を招く」と書いた。
事件が起きたのは僕が席に着いた瞬間だった。

「Hiro(フーバー教授は僕のことをこう呼ぶ)、どうしてそんな風に考えるんだ? 移民はみんな犯罪者だってことか?」
鬼のフーバーは何故か上気して赤鬼さんになっていた。
おいおい、別に僕の意見じゃないよ。
単に移民制限派の代表的な論拠の1つじゃないか。
それに僕は差別主義者じゃない(笑)。

でも、ここでおとなしく引き下がるわけにはいかない。
ひねくれ者の僕はありとあらゆるボキャブラリーを駆使して反論を試みる。
「文化的背景が異なる移民との間には誤解や衝突が起きやすいから…」

さらに「移民との経済的な格差は犯罪を誘発しやすい」とか「実際に移民の流入で犯罪率が上がったケースもあるはずだ」なんてことを言おうとしたが、たぶん言いたいことの半分も伝わらなかったんじゃないかな。

まさか僕が反論してくるとは思わなかったのか、フーバー教授は慌てて「だったらそれを裏付けるデータが必要だな」だって。
そういう練習問題じゃないんじゃないの?
それに、これは僕の意見じゃないんだってば。

授業が終わってからクラスメイトとも話したのだが、フーバー教授はどうやらPolitically Correct(政治的に正しい)的な意見が好きらしい。
進歩的文化人(笑)ってとこか。
そう考えると今までに書いたエッセイの中で「エイズ患者に対する差別はいかん」とか「男が料理好きだっていいじゃないか」というところに「Very good !」という赤ペンが入っていたのも合点がいく。

ファイナルのエッセイは今日習った「議論」を踏まえて書くことになるらしい。
あるクラスメイトは「じゃあそういう路線で書けば点数が甘くなるかも」と期待を口にする。
さて、どんなテーマが出題されるのか?
それは3日後のお楽しみ…。