L.A.エリアの日系スーパーなどで無料配布されている「Bridge U.S.A」という雑誌がある。
僕が今日手に入れた6月1日号は創刊十周年記念特別号だそうだ。

いつものようにパラパラとページをめくっていると、なんと知っている名前が目に飛び込んできた。
島田明宏
「『武豊』の瞬間」(集英社)、「わたしの馬が、ターフを走る?馬主になる方法と一口会員のしくみ」(オーエス出版)の著書であり、サッカー、競馬、モータースポーツなどを題材に活躍するスポーツライター。
「武豊」の瞬間
僕は知らなかったが昨年の夏に「鞍上のバレット」(集英社)という短編で小説家デビューをはたしたとプロフィールにある。

島田さんは大学の先輩で、僕がテレビの仕事に関わるきっかけを作ってくれた人だ。
入学時からとてもかわいがってもらったにもかかわらず、ある事について考えを異にしたことがあった。
今から12年前のある夜、忘れもしない某テレビ局の会議室での数時間に渡る議論。
互いの意見は平行線をたどり、交わることがなかった。
島田さんはきっと「この男には見どころがない」と思ったのだろう。
それ以来一度も声をかけてもらえることはなかった。

それでも島田さんが僕にとって尊敬する先輩であることは変わりない。
活躍しているのは雑誌の記事や著書などを通じて知っていたし、共通の知人から近況を聞くこともあった。
もちろん、島田さんは僕のことなんて気にもしていなかっただろうけれど。

そんな島田さんの文章をL.A.の雑誌で見つけたのだ。

物書きとして、「新人」の部類にも入らない私は、今、なんとかして自分の日本語の能力を上げようとしている。(「Bridge U.S.A」6月1日号120ページ)

あの伊集院静氏が注目したほど、誠実で力強く美しい文章をものす島田さんでさえそうなのか。

僕は日本語が好きだ。
アメリカで生活し英語に触れれば触れるほど日本語の繊細さや奥深さを誇らしく思う。
これからも僕がなにかを最もよく表現しようと思ったら、その手段は日本語以外に考えられない。

なんとかして日本語の能力を上げたい。
この点について僕と島田さんの考えは間違いなく一致するはずだ。