BIGLOBEシネマスクランブルの特別試写会で映画「ユナイテッド93」を観てきた。
2001年9月11日の同時多発テロ。
ワールドトレードセンタービルに激突したアメリカン航空11便とユナイテッド航空175便。
そして、国防総省ペンタゴンに墜落したアメリカン航空77便。
これらの3機と別に、ペンシルバニア州シャンクスヴィルの雑木林に墜落し、乗員乗客全員が死亡したのがユナイテッド航空93便だ。
機内の乗客から地上にいる家族にかけられた電話の内容などによる機内の様子と、関係者への緻密な取材による管制センターや軍の当時の様子を「ドキュメンタリー」的に「再現」している。
実は僕は以前に同様のコンセプトで制作されたディスカバリーチャンネルの「9.11 抵抗のフライト」を観ていたので腰を抜かすほどの衝撃はなかったが、それでも改めて考えさせられる作品だった。
ハイジャック犯を極悪人に、それに抵抗した乗客を正義のヒーローに描きたくなるであろう「ハリウッド的演出」を極力抑え、できるだけ冷静かつ客観的に事実を再現しようとした姿勢や、パニックに陥って機能をはたしていなかった管制センターや軍の現実を明らかにしたジャーナリスティックな視点にはアメリカの底力を感じる。
事実に基づいているだけに衝撃は大きく、どんなホラー映画より恐ろしい。
それでも僕が物足りなさを感じるのは、この作品の中に「なぜ」という視点がまったく欠如しているからだ。
なぜ犯人たちは自らの命を犠牲にしてまで自爆テロに身を投じたのか?
何が「善」で、何が「悪」なのかという議論とは関係なく、その理由や背景を明らかにし、世界中の人間が理解する想像力を持たない限り、同様のテロはなくならないだろう。
アメリカがそこにまで思いを至らせるのに5年という月日はまだ短すぎるのかもしれない。