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2005年05月19日

●「バブルの歴史」「バブル学」

M&AだTOBだと大騒ぎしたホリエモン騒動は一段落したようだけれど、僕の周りでも株が話題になることが多いような気がする今日この頃。
80年代後半から90年代初頭のバブル景気をまだ世の中をよく知らない学生で過ごした僕は、あのバブルとは何だったのかに興味がある。
というわけで読んだのが「バブルの歴史―チューリップ恐慌からインターネット投機へ」
バブルの歴史―チューリップ恐慌からインターネット投機へ

17世紀のオランダで起きたチューリップバブルから20世紀の日本の土地バブル、アメリカのITバブルまで、様々な「バブル」を冷静に記述した金融史。
後から振り返れば、当時の人々はなぜあんなに浮かれていたのだろうと思えるが、嵐の真っ只中ではそう考えられないのが人間の弱さなのだろう。
経済学者などの専門家は過去のバブルを知っているはずなのに、日本でもアメリカでも「今回だけは今までと違う。我々の経済は新しい段階に入ったのだ」と同じ台詞で正当化していたというのが面白い。
ファッションでも数十年サイクルで同じ流行があると言うけれど、人間が過去の記憶や経験を忘れてしまう動物ならば、バブルはまた起きるんだろうな。

そしてもう1冊「バブル学―通説では解けない歴史の謎」
バブル学―通説では解けない歴史の謎
こちらはバブルとは何か、人々はなぜ非合理的な価格まで株を買ってしまうのか、を考察している。

面白かったのは、バブル発生は「不確実性」と大いに関係があるという指摘。
「不確実性」には2つの種類があって、1つ目は人間がすでに知っている範囲の(流行りの言葉で言えば「想定の範囲内」の)ランダム要因。
例えば、明日は晴れるか雨が降るかというようなことで、これが「リスク」と呼ばれるもの。

そして2つ目が「曖昧性」。
新しい分野でどんな結果が生まれるか、その確率さえ誰にもわからない状態だ。
大きな利益はこんな時にこそ得られる可能性がある。
金が出るかどうかは分からないけれど、出れば大もうけができると人が考えるところにゴールドラッシュが生まれるというわけだ。

一度読んだだけでは完全に理解できたとは言えないけれど、少なくとも読み物として面白かった。
しばらくしたらもう1回読んでみようと思う。

この2冊でははっきりとわからなかったけれど、個人的にはバブル発生のメカニズムよりもむしろバブル崩壊が起きる瞬間のメカニズムに興味がある。
ボケに対して鋭いツッコミが入って大爆笑が起こる瞬間とか、優しい一言でがまんしていた涙がどっとあふれ出す瞬間とか、緊張が弛緩に変わる一瞬の心理に共通する何かがありそうな気がするんだよなぁ。
なにかこの辺を考察した本ってないっすかね。

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