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2005年01月29日

●「希望格差社会」

「希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く」
希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く

ベストセラーランキングに入っていて、前からタイトルが気になっていた本。
以前に「パラサイト・シングル」という言葉を作り出した著者と聞いて、なんとなく「どうせキャッチコピーだけ巧くて内容はたいしたことないんだろうな」と勝手に思いこんでいたのだが、予想はいい方に裏切られた。

著者の仮説は「日本社会は将来に希望が持てる人と将来に絶望している人に分裂していくプロセスに入っているのではないか」ということ。
いわゆる「勝ち組」と「負け組」の格差が起こりつつある社会背景とその結果起きる影響を様々なデータを元に提示している。

そもそも「希望という感情は、努力が報われるという見通しがある時に生じ、絶望は、努力してもしなくても同じとしか思えない時に生じる」わけで、「希望」が失われた人が努力をするはずがない。
年金制度の崩壊も、少子化も、犯罪や自殺の増加も、最近はやりの「ニート」も、背景には「希望の喪失」があるのではないかという指摘には説得力がある。

では、僕自身はどうなんだろう?
今のところそれなりに努力をしているということは、まだ希望を持っている「勝ち組」なのか?
それとも、もうとっくに希望が失われているのに気づいていないだけなのか?

なんだか、奥深いところでインスパイアされる良著だと思う。