2006年04月16日

●最近読んだ本

面白い本を読んだら忘備録も兼ねて日記に書くことにしていたのだけれど、忙しくて最近とんとご無沙汰になっている。
だって、きちんと書評らしきものを書くのにはけっこうエネルギーがいるのだ。
そんなわけで、かなり手抜きで最近読んだ本の中から印象に残ったものを。

「ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる」
ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる
インターネットとテクノロジーがこれからの社会にどんな影響を及ぼすか、明確なビジョンを示した良著。
特に、インターネットのことをよく知らないであろう頭の固い人にも分かるように書いてあるのがエライ。

「決断力」
決断力
棋士・羽生善治が勝つために頭の中でどんなことを考えているかを一般人にも分かりやすい言葉で説明した本。
番組のゲストに来る人の本は片っ端から読むようにしているのだが、この本からはその中でも有数のインスピレーションを受けた。
たぶん、超一流のスポーツ選手とか、学者とか、アーティストとか芸人もどこかで共通する思考回路を持っているんじゃないかと想像する。

「私の戦後六〇年 日本共産党議長の証言」
私の戦後六〇年 日本共産党議長の証言
J-wave「Jam the world」などで活躍するジャーナリスト角谷浩一氏が共産党の不破哲三氏に行ったインタビューをまとめた、もうひとつの戦後史。
様々な史料から検証される「事実」は自民党やマスコミからは出てこないであろうことばかり。
共産党って、授業も掃除当番も絶対にサボらないマジメ君のイメージだが、この筋の通った緻密な調査力を見せつけられると、クラスに1人くらいはいてもいいかなと思えてくる。

ああ、だいぶ前に読んだ本ってけっこう中身忘れてるなぁ。
まだまだあるのだけれど、それはまたそのうちに。

2005年11月05日

●「アメリカSF映画の系譜」

J-wave「Growing Reed」のゲストに来て下さったシネカノン代表の李鳳宇さんは「映画はその国の勢いを表す」と言い、同じくスタジオジブリの鈴木敏夫さんは「なぜこの映画が今必要なのか、時代性を意識して戦略を考える」と語った。
映画は娯楽であると同時に時代の空気や気分を表す鏡であり文化なのだ。

テレビは社会の鏡であるという言い方をすることもあるが、テレビが長くても数ヶ月単位の「今」を映し出すのに比べて、映画は年単位、世代単位の「今」を映し出すのだろう。
「アメリカSF映画の系譜」(長谷川功一・著)を読みながらそんなことを考えた。

「2001年宇宙の旅」から「スターウォーズ」「E.T.」「エイリアン」「マトリックス」まで、誰もが知っているSF映画はなぜアメリカで発展したのか?
著者はその疑問を「フロンティア神話」と「冷戦」という視点から読み解いていく。
すなわち、アメリカSF映画を「宇宙開拓の神話」と「エイリアン来襲の神話」の2つに類型化し、それらの内容や制作された背景を綿密に検証していくのだ。

結果として本書はアメリカSF映画史であると同時に現代アメリカ文化史になっている。
自分が見て感動した映画が誰のどんな意図によって企画され、どんな時代背景の中で人々の支持を集めたのか。
著者の意図とはおそらく異なるだろうが、僕はエンタテイメントのマーケティング論として楽しんだ。

実は、著者はアメリカ留学の経験を持つ札幌在住のテレビマンで年令もほとんど同じ。
僕の日記を読んで下さって、わざわざ本を送って下さったのだ。
そんな共通点を持っている人の情熱的な仕事を見ると刺激を受ける。
僕ももっと頑張らなきゃいけないなぁ。

2005年08月12日

●「心理テストはウソでした」

「キミって明るく振る舞ってるけど、本当は寂しがり屋でしょ」って、女のコの耳元で囁くんですよ。
そうすると、女のコは「この人は本当の私を分かってくれてるのかもしれない」と心を開いてくれるんです。

かなり前に何かの番組でインタビューしたモテ男のコメントを思い出したのは、「心理テストはウソでした。 受けたみんなが馬鹿を見た」を読んだからだ。
「心理テスト」はウソでした。 受けたみんなが馬鹿を見た Posted by 鈴木 裕史 at 02:28 | Category : | Comments [0] | Trackbacks [0]

2005年07月09日

●さらば「Los Angeles留学日記」

出版社のアルクさんから「あなたの著書「Los Angeles留学日記」を残念ながら絶版にします」というメールが届いた。
Los Angeles留学日記―読んで(日記)観て(映像・写真)聴く(音声)アメリカ滞在奮闘録 Posted by 鈴木 裕史 at 04:44 | Category : | Comments [0] | Trackbacks [0]

2005年06月20日

●「30分で5億売った男の買ってもらう技法」

「30分で5億売った男の買ってもらう技法」
30分で5億売った男の買ってもらう技法アマゾンの書評がおおむね高評価なのが意外だった。
エンタテイメントの文法がビジネスシーンで活用される余地はまだまだあるのかもしれないな。

と、本書の後付にある著者プロフィールを確認していたら、そこについ先日のブログに書いたばかりの「アップルシード・エージェンシー」の名前が。
いいところに目をつけてますな(^^)

2005年05月19日

●「バブルの歴史」「バブル学」

M&AだTOBだと大騒ぎしたホリエモン騒動は一段落したようだけれど、僕の周りでも株が話題になることが多いような気がする今日この頃。
80年代後半から90年代初頭のバブル景気をまだ世の中をよく知らない学生で過ごした僕は、あのバブルとは何だったのかに興味がある。
というわけで読んだのが「バブルの歴史―チューリップ恐慌からインターネット投機へ」
バブルの歴史―チューリップ恐慌からインターネット投機へ

17世紀のオランダで起きたチューリップバブルから20世紀の日本の土地バブル、アメリカのITバブルまで、様々な「バブル」を冷静に記述した金融史。
後から振り返れば、当時の人々はなぜあんなに浮かれていたのだろうと思えるが、嵐の真っ只中ではそう考えられないのが人間の弱さなのだろう。
経済学者などの専門家は過去のバブルを知っているはずなのに、日本でもアメリカでも「今回だけは今までと違う。我々の経済は新しい段階に入ったのだ」と同じ台詞で正当化していたというのが面白い。
ファッションでも数十年サイクルで同じ流行があると言うけれど、人間が過去の記憶や経験を忘れてしまう動物ならば、バブルはまた起きるんだろうな。

そしてもう1冊「バブル学―通説では解けない歴史の謎」
バブル学―通説では解けない歴史の謎
こちらはバブルとは何か、人々はなぜ非合理的な価格まで株を買ってしまうのか、を考察している。

面白かったのは、バブル発生は「不確実性」と大いに関係があるという指摘。
「不確実性」には2つの種類があって、1つ目は人間がすでに知っている範囲の(流行りの言葉で言えば「想定の範囲内」の)ランダム要因。
例えば、明日は晴れるか雨が降るかというようなことで、これが「リスク」と呼ばれるもの。

そして2つ目が「曖昧性」。
新しい分野でどんな結果が生まれるか、その確率さえ誰にもわからない状態だ。
大きな利益はこんな時にこそ得られる可能性がある。
金が出るかどうかは分からないけれど、出れば大もうけができると人が考えるところにゴールドラッシュが生まれるというわけだ。

一度読んだだけでは完全に理解できたとは言えないけれど、少なくとも読み物として面白かった。
しばらくしたらもう1回読んでみようと思う。

この2冊でははっきりとわからなかったけれど、個人的にはバブル発生のメカニズムよりもむしろバブル崩壊が起きる瞬間のメカニズムに興味がある。
ボケに対して鋭いツッコミが入って大爆笑が起こる瞬間とか、優しい一言でがまんしていた涙がどっとあふれ出す瞬間とか、緊張が弛緩に変わる一瞬の心理に共通する何かがありそうな気がするんだよなぁ。
なにかこの辺を考察した本ってないっすかね。

2005年05月16日

●「『オーマイニュース』の挑戦」

「『オーマイニュース』の挑戦」
『オーマイニュース』の挑戦

「すべての市民は記者である」をスローガンに韓国のインターネット新聞「オーマイニュース」を立ち上げた創設者による起業の記録。
創業時の苦労から世論を動かした大統領選報道や記者クラブ制度廃止の成功談まで、舞台裏がテンポよく読みやすい文体で語られていて、一気に読んでしまった。

既存のメディアに対抗するために取らざるを得なかったであろう、中立とは言えない政治スタンスに若干の違和感はあるものの、インターネットならではの新しい報道スタイルを模索するやり方には共感を覚える。
ニュースに対するゲリラ的なアプローチは、今はなき文化放送の名番組「本気でDonDon」に通じるし、ニュースの現場から動画レポートを長時間伝え続ける方法論は、某インターネットプロジェクトで提案した(ボツになったけど)「走れ!生中継」という企画の骨子そのままだ。
日本で同じようなサイトが実現していないのを少し悔しく感じる。

「オーマイニュース」の成功はかなり前から知られていたから、日本でも同様の試みはあったのだろう。
最近あのライブドアがパブリックジャーナリストという名称で市民記者を募集しているのも、「オーマイニュース」を念頭に置いているに違いない。
なかなか苦労しているようだけど。

本の内容とはまったく関係ないが面白かったのは、推薦の辞を筑紫哲也氏が書いていること。
かつて「インターネットは便所の落書きと同じ」と言ってネットユーザーの猛反発をくらった氏が「20世紀型メディアを変えた世界初の『革命』である」と「オーマイニュース」を褒めているのだ。
自分に都合が悪いときは「便所の落書き」で、そうじゃないとき(たぶん「オーマイニュース」の政治スタンスに共感したんだろうなぁ)は「革命」じゃ、説得力に欠けるでしょ。
日本で「オーマイニュース」的なムーブメントが起きるとしたら、「週刊金曜日」からじゃなくて2ちゃんねるからだと思うけどなぁ。

2005年05月12日

●「戦争請負会社」

またもやイラクで日本人が武装勢力に拘束されたというニュースが伝えられている。
斎藤昭彦さんが勤務していたのはイギリスの警備会社だというのを聞いて、買ってあってまだ読んでいない本を思い出した。

「戦争請負会社」
戦争請負会社

「戦争請負会社」とは、国家の軍事業務を代行する民間企業。
戦闘機や武器を製造する軍需産業があるのは知っていたが、「警備」という名の「傭兵」までビジネスになっていたとはビックリだ。
日本が郵政民営化でゴチャゴチャしている間に英米では戦争の民営化が進んでいたということか。

時間ができたら読もうと思う。

2005年05月10日

●「近代家族のゆくえ―家族と愛情のパラドックス」

「近代家族のゆくえ―家族と愛情のパラドックス」
近代家族のゆくえ―家族と愛情のパラドックス

最近読んで、面白かった「希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く」の著者、山田昌弘による家族論。
「子供を大事にするほど子供の数が減る」「男女交際が増えると結婚が遠のく」といった近代家族の矛盾を提示しながら現実の家族考察している。

ごくフツーの家族に育った僕は、家族というものにそれほど強い思い入れはないけれど、お年頃の男として(おいおい!(笑))、恋愛と結婚の関係についての記述はとても興味深かった。

理論的には、恋愛と結婚は、別の現象である。恋愛は、身体的興奮を伴った感情現象に属し、結婚は、親族・家族システムに属している。しかし、両者は、二人の人間(通常、異性同士)を結合させるという同一の機能をもっている

恋におちた相手が、結婚相手として(結婚の社会機能上)ふさわしい相手とは限らない。同様に、結婚相手としてふさわしい相手に、恋愛感情を抱くかどうかもわからない。また、結婚後、夫婦だからといって、恋愛感情が持続できるとは限らないし、夫婦以外の人に恋愛感情をもたないという保証もない。恋愛は、社会にとって望ましい結婚制度を崩壊させる危険性をもっている。

この矛盾に対処するために社会が編み出してきたメカニズムが3つ。

1.「恋愛と結婚をお互いに無関係な制度として分離させる」
妾、売春、不倫など婚外、婚前の男女交際を認めて、結婚とは区別する方法。

2.「恋愛を抑圧する」
結婚前の男女の接触を禁止したり、恋愛体験にマイナスの価値観を付与する方法。

この2つが前近代社会でも見られた方法だが、近代社会で典型的に用いられているのが、

3.「恋愛=結婚したい気持ち、と定義する」
そもそも別物である恋愛と結婚を制度的に結合させる方法。

つまり、「結婚には恋愛感情が必要だ」とか「恋愛感情が高まって結婚に至る」といった、現代の「常識」は、社会を崩壊させないようにするための知恵だというのだ。
面白いなぁ。

確かに、「本物の恋愛=結婚」という価値観は結婚前の男女における社会を壊さないようにするのに役立つと思うけれど、一方で、「恋愛感情がなくなった夫婦は結婚に値しない」という価値観を生み出し、離婚を促進してしまうのではないだろうか?
こんなことを考えていると、ますます「正しい恋愛」も「正しい結婚」もできなくなっちゃうような気がするなぁ(笑)。

2005年05月04日

●「ザ・エージェント」

欧米では一般的ながら日本ではあまりなじみのない作家のエージェント「アップルシード・エージェンシー」を立ち上げた著者が自らの軌跡をまとめた本。
作家のエージェントとは、将来性があると見込んだ新人作家を発掘し、育て、世に送り出す仕事。
いわば、作家版の芸能プロダクションのようなものかもしれない。

2001年に会社を立ち上げた著者は3年間に160冊の書籍をプロデュースし、5万部を超えるベストセラーは12作品。
1作品がテレビ化され、5作品が映画化、2作品が漫画化されたという。

新人作家は立場上、出版社と対等に交渉するのが難しいだろうし、そもそもそういう交渉事が苦手な人も多いだろう。
企画や原稿を片っ端から出版社に持ち込むよりも、そういう営業はエージェントに任せてクリエイティブな作業に集中した方が効率的だ。
プロ野球選手が契約更改に代理人を立てるのと同じように、出版界の近代化のためには必要な仕事だと思う。

エンタテイメント屋としては、テレビやラジオより本にした方が面白い企画を思いついたら、こういうところに持ち込めばいいんだな、なんてことを考えた(^^)

2005年04月30日

●「日本のお金持ち研究」

「日本のお金持ち研究」
日本のお金持ち研究

世の中には億万長者になるための啓発本がたくさんあるけれど、この本はそれらと異なり、日本の富裕層と呼ばれる人たちの実態を経済学者が体系的に調査した結果をまとめたもの。
年収1億円以上のお金持ちへのアンケートという客観的なデータが様々な角度から検討されている。

一番興味深かったのは、日本の億万長者の2大メジャー職業は「医師」と「オーナー経営者」であるということ。
意外にも「大企業の役員」や「弁護士」は日本ではお金持ちではないのだ。
「芸能人」や「スポーツ選手」も億万長者の中では決して多数派ではない。

僕が子供の頃には、一生懸命勉強して一流大学から一流企業に入り出世するという漠然とした成功モデルがあったが、大金持ちになることを成功とするならば、このモデルは間違っていることになる。
それよりもむしろ自分で会社を興し、オーナー社長になる方が億万長者になる確率は高いのだ。

つい先日もホリエモン騒動でIT長者が注目を浴びたけれど、最近の成功モデルはああいうことなのかな。
この傾向が一時的なものでないとすれば、子育てや教育に関する親の意識も変わるかもしれない。
ちょっと面白いな。

2005年04月24日

●「デセプション・ポイント」

「デセプション・ポイント」
デセプション・ポイント 上デセプション・ポイント 下

「ダ・ヴィンチ・コード」がベストセラーになっているダン・ブラウンの小説。
日本での出版は「ダ・ヴィンチ・コード」より後だけれど、原作は「天使と悪魔」(2000年)と「ダ・ヴィンチ・コード」(2003年)の間となる2001年の出版。
今回は宗教象徴学者ラングドンのシリーズではなく、NASAを中心としたアメリカ政府機関と大統領選挙をからめたミステリーだ。

スケールの大きい舞台設定とテンポのいいストーリー展開も他の2作と相通ずるものがあるが、最大の共通点は実在の組織や科学技術を物語のベースに置いていること。
今回も本編にはいる前に「デルタ・フォース、国際偵察局(NRO)、宇宙フロンティア財団(SFF)は現存する組織である。この小説で描かれる科学技術はすべて事実に基づいている」という著者注記がある。

この一文が作品のエンタテイメント性をいかに高めていることか。
映画などでもときどき「事実に基づいている」という作品があるけれど、まったく同じストーリーが事実に基づいていない場合より心に訴えかけるパワーが明らかに大きいと思う。
リアルの持つ訴求力をフィクションに取り込む手法はちょっと勉強したいところだ。

ちなみにこの3作で僕が一番よかったのは「天使と悪魔」かなぁ、やっぱり。

2005年04月14日

●「模倣される日本」「日本発イット革命」

「模倣される日本―映画、アニメから料理、ファッションまで」
模倣される日本―映画、アニメから料理、ファッションまで

日本のアニメやゲームが世界に輸出され高い評価を受けているのは有名だが、今や日本はGNP(国民総生産)やGDP(国内総生産)だけでなくGNC(Gross National Cool=文化としてのかっこよさ)の高い国としてポップカルチャーがあちこちで模倣されている。
そんな例をこれでもかと列挙したのがこの本。

中でも知名度や影響力の強さで抜きん出ているのが「スターウォーズ」。
ルーカスが黒澤明監督をリスペクトしているとか、ヨーダが「ヨダさん」という日本人名から取られたというのは知っていたけれど、ジェダイが「時代劇」という言葉の響きから取ったとか、オビ=ワン・ケノービが「帯・ワン・黒帯」(一番の帯は黒帯)から来たなんていうトリビアが満載だ。

あまりに面白かったので会議で話題にしたところスタッフ一同盛り上がり、著者の浜野安樹さんに「TOKYO CONCIERGE」のゲストに来ていたき、興味深い話をたっぷり聞かせていただいた。

「日本発イット革命―アジアに広がるジャパン・クール」
日本発イット革命―アジアに広がるジャパン・クール

同じく、日本のポップカルチャーの世界進出でも、アニメ、マンガ、ゲーム、フィギュア、音楽などが欧米のインテリではなくアジア諸国の若者にいかに受け入れられているかをレポートしたのがこの本。
アジアに旅行したときは必ずCDショップやビデオショップをチェックしてくる僕にとってそれほど新鮮な驚きはなかったけれど、「モノ作り」から「モノ語り作り」へという産業論やオタクと呼ばれる若者たちの世代文化論として一読の価値はある。

ここまで来たら、次は日本のテレビ番組も世界進出を目指すべきじゃないかなぁ。
特に日本のバラエティー番組の成熟度は世界有数だと思うのだけれど。

2005年04月10日

●「ポストモダン・マーケティング」

ポストモダン・マーケティング―「顧客志向」は捨ててしまえ!
ポストモダン・マーケティング―「顧客志向」は捨ててしまえ!

このところマーケティングといえば、先回りして顧客の要望に応える「顧客志向」が常識とされてきたけれど、この本はそんな常識を捨ててしまえと正反対の論を唱える異端の書。
著者はその主要原則をTEASE(=からかう、じらす)という5つの頭文字にまとめている。
すなわち

T・Trickery(トリック) 真実を誇張した仕掛けで売る
E・Exclusivity(限定) 束の間と欠乏で狂乱させて売る
A・Amplification(増幅) ウワサになっていることをウワサにして売る
S・Secrecy(秘密) 誘惑し追いかけさせて売る
E・Entertainment(エンタテイメント) 想像を超えた驚きと変化の素早さで売る

「顧客志向」が女のコに尽くしまくる優しい男の戦略だとすれば、「TEASE」はプレイボーイの戦略といえるかもしれない。
となると、あらゆる商品サービスがこの戦略で成功するのは難しいんじゃないかなぁ。
確かに世の中が全て「TEASE」戦略をとったら面白くて楽しいけど。
というより、この手法って丸ごとエンタテイメントの手法でしょ。

なんとなく、以前に読んだ「遊び心の経済学―あらゆるビジネスは娯楽へ進化する」に通じるかもしれない。
「遊び心」の経済学―あらゆるビジネスは娯楽へ進化する
ビジネスがエンタテイメントに近づいてくるのなら、エンタテイメント屋としては大歓迎だ。

2005年03月28日

●「銀座小悪魔日記」

「銀座小悪魔日記―元銀座ホステスの過激すぎる私生活」「ふたつの蜜月 ~銀座小悪魔日記」
銀座小悪魔日記―元銀座ホステスの過激すぎる私生活ふたつの蜜月 ~銀座小悪魔日記

タイトル通り、元銀座のホステス・蝶々さんによる恋愛日記。
かつてウェブで公開されていた日記が人気を集め、出版されたものだという。

自由奔放である意味純粋な恋愛記には、ハイクラス(?)な男とハイソ(?)な店でのデートや、修羅場の愛憎劇が無防備に綴られ、覗き見的な興味をかき立てずにはいられない。
いい男にモテモテな著者の恋愛ドラマは女性読者には憧れと嫉妬を、男性読者には興味と嫌悪感をもよおすのだろう。
アマゾンの書評も賛否がくっきり分かれている。

恋愛劇自体はたぶんどこにでもあるフツーのものだと思うけれど、「赤門卒のコンサルタント」や「ベンチャー企業の社長」をメロメロにしてボロボロにしてしまう著者がどんなに魅力的な人なのだろうと想像するのが僕にとっては最大の楽しみ方。
「もしどこかで接触する機会があったら、相手にもされないのにメロメロになっちゃうのかな」とか「もしかしてオレに惚れちゃうんじゃないの?」などと妄想をたくましくして読むのがよろしいかと。

きっと夜の銀座には僕の想像を絶する魅力的な女の人がいるんだろうなぁ。
たぶん僕には一生縁がないだろうけど(笑)。

2005年03月03日

●「天使と悪魔」

「天使と悪魔」
天使と悪魔(上)天使と悪魔(下)

ダン・ブラウンが「ダ・ヴィンチ・コード」の前に書いた小説。
僕には「ダ・ヴィンチ・コード」よりこちらの方が面白く、あっという間に読破してしまった。

どこが面白かったかというと、まず第一に「宗教と科学の対立」というテーマ設定。
冠婚葬祭くらいでしか宗教と接しない日本人にとってはピンと来にくいかもしれないけれど、キリスト教の影響の大きいアメリカの一部地域では「神の創世記に反する」という理由で教科書で進化論を教えないという話を聞けば、なんとなく両者の対立構造が想像できるかもしれない。
本作ではキリスト教の総本山・バチカンと現代科学の最先端・セルン(欧州原子核研究機構)を対置して、両者の本質をあぶり出している。

第二に「秘密結社による陰謀」というミステリー構造。
「ダ・ヴィンチ・コード」にも登場する秘密結社だが、今回はキリスト教と対峙する科学者による歴史的な組織「イルミナティ」や「フリーメイソン」が出てくる。
フリーメイソンといえばトンデモ本の常連だが、本作ではそこらの陰謀史観本よりずっとリアルに描かれ、魅力的なミステリーの根幹をなしている。

第三にローマとバチカンを舞台にした観光的な要素。
本書の冒頭に「ローマの美術品、墓所、地下道、建築物に関する記述は、その位置関係の詳細も含めて、すべて事実に基づくものである。これらは今日でも目にすることができる」という注記がある。
こうした「事実」を舞台に展開される物語はリアルさを付与されると同時に異国情緒をかき立てる。
僕が世界一周の旅で見て回った観光名所の数々もストーリーの重要な舞台になっているのだけれど、きっとこの小説を読んで「事実」を確認しにローマに行きたくなる人も多いに違いない。

最後にエンタテイメントの王道的構成。
タイムリミットの迫る中、葛藤をどんどん高めていってラストのカタルシスになだれ込むという定番の構成は、分かっちゃいるけど引き込まれる。
「ダ・ヴィンチ・コード」と同じく、画になるクライマックスも用意されていて、映画化にもってこいだ。

この本、欧米でもヒットしているらしいけど、保守的なクリスチャンがどんな反応してるのか興味あるなぁ。

2005年02月12日

●「科学する麻雀」

科学する麻雀
科学する麻雀

最近ほとんどやってないけれど、麻雀はけっこう好きだ。
負けるより勝つ方が楽しいのは言うまでもない。
しかし、自分で常識的だと思っている打ち方が確率論に基づいたベストではないとしたら?

例えば、
・リーチ宣言牌のソバの牌は危険なのか?
・ピンフのみのテンパイは即リーチすべきか?
・自分が親でテンパイしているなら他家のリーチにツッパるべきなのか?

著者はオンライン雀荘として名高い東風荘の膨大なデータを解析して、上記のような疑問に「科学的に正しい答え」を用意している。
例えば、3つ目の疑問に対する答えはこうだ。
「12順目に親の両面テンパイなら他家の通常リーチに全部ツッパっていい」
なるほどねぇ。

いろいろ細かい数字がいっぱい出てきて厳密に実行に移そうと思うと大変だが、大ざっぱな原則だけでも覚えておけば明日から麻雀の打ち方が変わると思う。

2005年01月29日

●「希望格差社会」

「希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く」
希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く

ベストセラーランキングに入っていて、前からタイトルが気になっていた本。
以前に「パラサイト・シングル」という言葉を作り出した著者と聞いて、なんとなく「どうせキャッチコピーだけ巧くて内容はたいしたことないんだろうな」と勝手に思いこんでいたのだが、予想はいい方に裏切られた。

著者の仮説は「日本社会は将来に希望が持てる人と将来に絶望している人に分裂していくプロセスに入っているのではないか」ということ。
いわゆる「勝ち組」と「負け組」の格差が起こりつつある社会背景とその結果起きる影響を様々なデータを元に提示している。

そもそも「希望という感情は、努力が報われるという見通しがある時に生じ、絶望は、努力してもしなくても同じとしか思えない時に生じる」わけで、「希望」が失われた人が努力をするはずがない。
年金制度の崩壊も、少子化も、犯罪や自殺の増加も、最近はやりの「ニート」も、背景には「希望の喪失」があるのではないかという指摘には説得力がある。

では、僕自身はどうなんだろう?
今のところそれなりに努力をしているということは、まだ希望を持っている「勝ち組」なのか?
それとも、もうとっくに希望が失われているのに気づいていないだけなのか?

なんだか、奥深いところでインスパイアされる良著だと思う。

2005年01月26日

●「たくさんの人にお金を出してもらう仕組みがわかる本」

たくさんの人にお金を出してもらう仕組みがわかる本
たくさんの人にお金を出してもらう仕組みがわかる本

といっても、ネズミ講や詐欺の本じゃない。
最近話題のアイドルファンド映画ファンドなどの資金調達の仕組みを解説した本。
実は最近、エンタテイメントファンドの企画を考えたい、という相談を受けたこともあり、ちょっと勉強しておこうと思ったのだ。

個人的にはこうしたファンドの「投資」面より、多くの人の「共感」「応援」を集めて、「夢」を実現するという要素に興味がある。
エンタテイメント作品は受け身で楽しむだけじゃなく、その制作プロセスに参加することで、より深く楽しめる可能性があると思うのだ。
ジャンルによっては、制作プロセスに参加すること自体が十分エンタテイメントとして成立するのではないか。
ベストセラーになった「電車男」だって、リアルタイムで書き込みに参加していた人は大いに楽しんだはずだ。

この本の中にはアイドルや映画の他に小劇場、音楽、風力発電の風車と様々なファンドの例が挙げられている。
これからも様々なジャンルでファンドが生まれるだろう。
テレビやラジオの番組だって例外じゃなく、成功するものもあれば失敗するものもあるだろう。

いつか僕がこうしたファンドに関わることがあったら、出資者をプロセスで大いに楽しませ、ついでに儲けさせることで、自分も楽しんでやろうと思う。
その日はそんなに遠くない予感がするんだよなぁ。

2005年01月15日

●「『Jリーグ』のマネジメント」

J-wave「TOKYO CONCIERGE」でお世話になっているスポーツ総合研究所所長・広瀬一郎さんの著書「『Jリーグ』のマネジメント―『百年構想』の『制度設計』はいかにして創造されたか」を読む。
「Jリーグ」のマネジメント―「百年構想」の「制度設計」はいかにして創造されたか

1993年にスタートしたJリーグを制度設計という経営学的観点から分析した本。
初代チェアマン川淵三郎氏をはじめとする関係者へのインタビューで再現されるJリーグ立ち上げの舞台裏はリアリティ抜群。
さらに、ロサンゼルス以降のオリンピックやワールドカップが商業化に成功していく背景でテレビがはたしてきた役割などスポーツビジネスとメディアの関係の分析も興味深い。
広瀬さんの持論「スポーツビジネスにはマネジメントが必要だ」の真意がこの本を読んで理解できたような気がする。

元々電通のスポーツビジネスプロデューサーとしてワールドカップやトヨタカップに関わってきた広瀬さんだが、昨年のプロ野球新球団騒動以来、メディアでの発言も増えている。
プロ野球のオーナーたちがみんなこの本を読んだら、プロ野球もちょっと面白くなるのになぁ、と思った。

2004年11月06日

●「ダ・ヴィンチ・コード 」

J-wave「TOKYO CONCIERGE」でご一緒させてもらっている望月理恵さんオススメの「ダ・ヴィンチ・コード 」読了。
ダ・ヴィンチ・コード (上) ダ・ヴィンチ・コード (下)

小説らしい小説を読んだのは久しぶりだったのだが、面白かった。
キリスト教の根幹を揺るがす意外な仮説と謎の秘密結社。
そして、ダ・ヴィンチの作品に隠されたメッセージ。
ヨーロッパで大激論になったという初期キリスト教の聖杯伝説を軸にミステリーが展開する。
芸術作品や秘密組織など、物語の前提となる事柄が事実だというところがミソ。
ネタバレになるので詳しくは書けないが、少なくとも僕はそんなことを想像したことすらなく、びっくりした。

スピーディーに展開する物語や、ビジュアルの浮かぶ場面の多さは映画になったら面白そうだなぁ。
と思ったら、もうすでに映画化が決定しているそうな。
これってキリスト教関係の筋から圧力かかったりしないのかな?

2004年10月19日

●『「人口減少経済」の新しい公式』

「人口減少経済」の新しい公式―「縮む世界」の発想とシステム読了。
「人口減少経済」の新しい公式―「縮む世界」の発想とシステム

かなり面白かった。
高齢化社会で年金制度が破綻するとかなんとかはよく言われているけれど、これまで当たり前と思われていた人口増加が減少に転じると何がどう変わるのか。

・労働者は減るから経済規模(GDP)の成長率が下がる
・企業経営は成長ではなく、縮小を前提にしなければならないが、必ずしも悪化しない
・平均すれば個人の所得水準も低下しない
・相対的に大都市圏の成長が縮小し、地方との格差が減少する
・年金制度は崩壊し、公共事業は半減する
・終身雇用と年功賃金制は崩壊する
・「転職の自由」「働かない自由」が生まれる

こう並べると、専門家がよく指摘していることに見えなくもないが、「人口減少」という事実とデータに基づく論理展開は説得力がある。
なにより、「いつか」ではなく「間もなく」「確実に」起こることを突きつけているところがリアルだ。

「だからこうしろ」という答えはこの本に書かれていない。
けれど、少なくともこれから「人口減少」時代のど真ん中を経験していく僕らは、発想を根本から変えなきゃいけないような気がする。
激動の時代は次なる飛躍のチャンスだし、間違いなく面白いはずだから。

2004年10月04日

●「上達の法則」

「上達の法則―効率のよい努力を科学する」読了。
上達の法則―効率のよい努力を科学する

仕事でも趣味でも勉強でもスポーツでも、あらゆる技能の習得には効率のよい上達の法則がある。
単純に練習の量や時間ではない、その法則を、社会心理学者の著者が科学的に分析した本。
読んでいくうちに「そういえばスノボの練習をしてるときにそんな感じがしたことがあったなぁ」とか、「受験勉強のときも同じ感じだった」とか、これまでの経験と照らし合わせながら、「上達するプロセス」とは何なのかが感じ取れていく。

そもそも僕がこの本を手に取ったのは、あらゆる「上達」に共通する「何か」を知りたいと思ったから。
答えはまだはっきり出ていないけれど、少なくともそれがありそうだということが手応えが得られたのは収穫。
このあたり、イチローとか各界の一流の人に聞いてみたいもんだ。

2004年09月03日

●「プラトニックチェーン」

著者の渡辺浩弐さんが送ってくださった「プラトニックチェーン〈03)」読了。

何でも検索できる万能サイト「プラトニックチェーン」や女子高生、携帯電話、渋谷、バーチャルネットワークといったキーワードをモチーフに超近未来を描いたSFショートショート集。
現在の技術がちょっと進歩すれば現実になりそうな世界を舞台に、浩弐さん特有のブラックな物語が展開する。
もしかしたら10年後にはSFじゃなくなっているかもしれないというところがリアルだ。
いや、もしかしたら作家の想像力が技術進化の方向を決めるのかもしれない。

さらに面白かったのは、どんなに技術が進化して殺人の手法は変わっても、犯人の動機は怨恨だったり嫉妬だったりするところ。
技術を利用する人間の感情は基本的に変わらないのだ。
古今東西のエンタテイメント屋が手を変え品を変え作ってきた物語の核にこそ、人間の本質が描かれているのだろう。

浩弐さんにお礼のメールを送ったら、コミック版の「プラトニックチェーン」まで送っていただいた。
感謝。

2004年06月25日

●「負け犬の遠吠え」

「TOKYO CONCIERGE」27日放送分のゲストに来てくれることになったエッセイスト酒井順子さんの「負け犬の遠吠え」を読む。

負け犬の遠吠え

「30代以上・独身・子なしの女性は負け犬」と、このところテレビや雑誌でも盛り上がっている“負け犬論争”の火付け役になったベストセラーだということは知っていたが、「女の話だし、男にゃ関係ないだろ」とスルーしていた本。
が、予想に反して面白かった。
特に年齢に関するくだりは性別の枠を越えて共感してしまった。

「ま、いつか結婚くらいはするだろうな」と思いつつ、気がつけばすでに30代も半ば過ぎ。
体力の衰えは感じながらも全然焦りはなく、自分が一生独身でいるなんていう可能性は想像だにしていない厚かましさ(笑)。
酒井さんによるオスの負け犬分類(同著158ページ参照)で言えば「女性に興味はあるけれど、責任を負うのは嫌な人=ダレ夫」が近いかも。
(んなこと公表してたら女のコが誰も寄ってこないじゃん(笑))

世の風潮では肩身の狭い負け犬だが、それはそれで快適なんだよなぁ。