7月16日(木)
ダイヤモンド社の雑誌「エグゼクティブ」の取材を受けるため、サンタモニカのベストウェスタンホテルへ。
編集の稲田さんは短パンにサンダルという、僕よりもL.A.らしい格好で待っていた。
逆取材しようとデジカメを持っていったのだが、撮影するのを忘れてしまった! 残念!
「写真を撮らせてもらえますか?」ということで、サンタモニカビーチやネオン輝くプロムナードをバックに写真撮影。
結構、照れるもんだ。
その後、近くのイタリアンレストランで食事をごちそうしてもらいながら話をする。
主な内容は留学の動機とこちらの大学院で学ぼうと思っていること。
稲田さんはこのホームページを読み込んでこられたようで、ほとんど繰り返しになってしまうのだが、より詳しく突っ込んだ話をする。
食事の後、稲田さんが滞在するホテルの部屋に場所を移してさらにしゃべる、しゃべる、しゃべる(笑)。
ふだん、日本語を話すチャンスが少ないので、ここぞとばかりに思う存分しゃべりまくる。
気がついたら留学と関係のない話まで3時間以上!
ちょっと調子に乗りすぎだぞ>自分。
稲田さんによると、資格取得などを目指した社会人の留学がより増えているとのことだが、アメリカでは、いったん仕事についた人がキャリアアップやキャリアチェンジのために大学に通うのはごく普通のこと。
日本の場合、企業がそうやって実力をつけた人の受け皿になれるかどうかが問題らしい。
しかし、日本の会社にもそうした素地ができるのは時間の問題だと僕は思う。
キャリアアップを目指している社会人の皆さん、お互い頑張りましょう!
ちなみに今回の取材が記事になるのは年末以降の発売号になりそうだとのこと。
本屋で見かけたら、ぜひ手にとって下さい。
7月17日(金)
秋からニューヨークの語学学校に転校するNobuが日本に一時帰国するので空港へ見送りに行く。

弱冠25才。
口数は少ないのだが、時折ボソッとこぼす一言でみんなの爆笑を誘うNobuはみんなの人気者だった。
年齢も違えば環境も違う。
日本にいたら決して知り合いになれなかったはずの僕とNobuは、ただ「留学生である」という共通点で友人になれた。
「じゃ、また」
NobuはまるでL.A.の乾いた空気のようにあっさりと搭乗口へ向かっていった。
いつかどこかでまた彼と会える日が来るのだろうか。
その時、僕は何をしているのだろうか。
7月18日(土)
トーランスにあるホリデーインで「Bridge U.S.A」という雑誌社が主催する夏祭り。
こちらでダンスのレッスンにも通っているKosukeがステージに立つというのでビデオカメラ持参で駆けつける。


トーランスは日系企業が多く進出しているエリアで、L.A.の中でも日本人が多いところ。
わたあめ、焼きそば、かき氷といった屋台が並び、猛暑にもかかわらずたくさんの日本人が集まっていた。
こうした日本人がいっぱいいるところに出くわすと、いつも複雑な気持ちになる。
海外の旅先で団体の日本人観光客と同じバスに乗ったときのような気恥ずかしい気持ち。
しかし、一方でこれだけの同胞がいるという安心感を感じるのも偽らざる事実だ。
様々な出し物を見ながら日本文化の良さを再確認したりもする。
日本ではここ数年盆踊りにさえ行ったことがないというのに。
さて、我らがKosukeは7人の仲間とヒップホップダンスを披露し、拍手喝采を浴びていた。
なんでも、その後会場を歩いていたら何人もの女の子に声をかけられたそうだ。
夕刻、Kojunの家でビデオ鑑賞会。
ところがカメラがやきもちを焼いたのか(笑)、突然、故障してしまう。
自分の晴れ姿を見ることが出来なくなってしまったKosukeは残念そうな顔をしていた。
7月20日(月)
ESLの夏学期も残すところあと2週間。
いよいよ終盤だ。
さっそく先週末に書いたエッセイが返却される。
お題は「エイズ検査を義務づけすることによって起こり得る影響」。
結果は80点。
減点されているのはほとんどスペルミスや細かい文法のミスばかり。
もう、エッセイのコツは完璧につかんだ!
要するに文章の最初で自分の言いたい結論をビシッと述べ、その理由や根拠や具体例を次々に連ねてサポートしていくというスタイル。
「because」とか「on the other hand」という文の構成を導くワードを上手く使って説得すればいいのだ。
何だか、新番組の企画書を作る作業に似ているような気がする。
授業中に流ちょうな(ように僕には聞こえる)英語で教授に質問しているのは主にヨーロッパ圏や南米圏の留学生なのだが、実は彼らも書くことに関しては相当苦労しているようだ。
英語が聞けて話せるんだから書くのも得意なんだろうと思うのだが、どうやらそうではないらしい。
「英語がペラペラしゃべれて羨ましいよ」と言うと、逆に「Hiro(僕のこと)は書く能力が優れていることを誇りに思うべきだ!」なんて言われたりする。
「誇り」だなんて大げさなもんじゃないんだけどなぁ。
週末に一生懸命予習した箇所は今日も2時間の授業であっという間に通り過ぎていく。
そして、今日も山盛りの宿題。
アパートに帰ってひたすら辞書を引き引き勉強だ。
7月22日(水)
夜中まで勉強していたせいで寝不足のまま学校へ。
教室に入ると、あるクラスメイトが「このクラスをドロップしようかどうか迷ってるんだ」と真剣に告白している。
「ドロップ」とは登録取り消しのこと。
このまま期末試験まで受けて一定の成績に達しないと「NC(ノンクレジット=落第)」になってしまうが、その前に「ドロップ」すれば評価の範囲外となって最悪の事態は免れる。
その「ドロップ」の期限が明日に迫っているのだ。
留学生が合法的にアメリカに滞在するためには“良好な成績”が条件となっており、噂によればNCを取ってしまうと『次の学期は頑張ります』という一筆を書かされ、それが数回続くと強制退学になってしまうという。
つまり、成績は留学生がその身分を維持するための命綱なのだ。
授業開始当初30人弱いた生徒がいつの間にか20人弱に減っているのは単位取得をあきらめた生徒がドロップしていったからに違いない。
他はどうなのか知らないが、このクラスではクイズやジャーナル、エッセイの点数が教室内に毎日張り出されるので自分の成績が客観的に分かってしまう。
しかも、現在「CR(クレジット=単位認定)」のレベルに達しているのはわずか5人しかいない。
これが“鬼のフーバー”たるゆえんか。
結局、自分の席に着いた彼は何事もなかったかのように授業を受け、帰っていった。
しかし、明日もまたこの教室で彼の姿を見ることが出来るかどうかは誰にも分からない。
アパートに帰って宿題をやっつけ、篠原さんのホームステイ先へ。
買い物に行った帰り道で故障してしまった彼の車をピックアップしに行く約束をしていたからだ。
篠原さんの通うLos Angeles City Collegeは今日が夏学期の最終日。
ということは、期末試験を無事終えた篠原さんは今日から一足早い夏休みなのだ。

とりあえずエンジンはかかったので一安心。
バッテリーとオルタネーターは交換したばかりということで他の原因は思いつかず、近くのガソリンスタンドへ入庫。
人の良さそうなメキシカンのおじさんが「明日までに直しとくよ」と笑う。
The Outlook Classifiedという広告新聞で見つけたアパート物件について篠原さんのアドバイスを求めると、今日これから一緒に見に行ってくれるという。
Brentwoodという地域を中心に3件ほど足を運んでみたが、今ひとつピンとくるものはなかった。
篠原さんの夏学期打ち上げを兼ねてSawtelleのラーメン屋へ。
今シーズン初めての冷やし中華を食し、ちょっぴり贅沢な気分で帰宅。
引き続き勉強する。
7月23日(木)
木曜日。今日が終われば週末だ。
エネルギーを振り絞って学校へ向かう。
教室に入るとクラスメイトたちが壁の成績表に見入っている。

みんな、何とか「CR」を取ろうと必死なのだ。
で、週末恒例のインクラスエッセイ。お題は、
「母国の大学生とアメリカの大学生を比べてその違いを述べよ」
「“類は友を呼ぶ”というが、キミと親友の類似点を論ぜよ」
「母国の文化における男女の育てられ方の違いを述べよ」
「“大都市はどこも同じだ”というが、よく知る2つの大都市を例に挙げて類似点を述べよ」
この4つの中から好きなものを選べというものだった。
ただし、今週習った「比較と対照」というスタイルを踏まえて書かなければならない。
どれでも書けそうで、かえってトピックの選択に悩む。
アウトラインを考えてはやめ考えてはやめ、結局「大都市〜」のアウトラインができたときには20分が経過していた。
ありきたりだが「東京」と「Los Angeles」を比較して、「交通渋滞」「郊外都市の存在」「エンタテイメント産業の集中」の3つを類似点として列挙し始める。
ところが、今日に限って頭が働かない。
漠然としたイメージは浮かんでいるのだが、それがピタッとくる英語に置き換わらないのだ。
やっぱり寝不足はいかん。
時間いっぱいかけてどうにかこうにかカタチにはしたものの、とうてい自分で納得のいくエッセイではない。
授業が終わって本来なら週末の開放感でいい気分なはずなのに、どうも重苦しい気分だった。
泣いても笑ってもESLはあと1週間。
自分で納得のいく結果を出さなければ。
昨日ドロップを検討していたクラスメイトは今日教室に来なかった。
7月24日(金)
先月の交通違反に対する裁判所出頭期限が明日に迫っているというのにまだ裁判所からの通知は来ない。
裁判所のホームページで調べてみても僕のデータはまだインプットされていないようだ。
改めて違反チケットを読んでいたら、なんと裁判所は土曜日は休みだということに気がついた。
やばいやばい。
ということで慌てて出頭することにした。

ダウンタウンの南に位置する交通裁判所。
入口の警備の人に「まだ通知が来てないんだけど」と聞くと「罰金を払うつもりならそこの列に並んで」と言われたのでおとなしく並ぶ。
怖そうな黒人のお兄ちゃんから派手な服装のアジア人まであらゆる人種の人がチケット片手に列を作っていた。
電光掲示板には「Welcome to the court !」のサイン。
窓口が空くと「May I help you」というアナウンスが流れる。
まったく裁判所らしくない雰囲気だ。
30分ほど待つと僕の順番がやってきた。
窓口で「まだ通知が来てないんだけど、期限は明日までって書いてある」と伝えると、お姉さんは「ちょっと待っててね。調べてみるわ」と言って奥の方に行ってしまった。
「アメリカの事務手続きはいいかげんだし、もし記録が残ってなければ罰金払わなくて済むのになぁ」とへんな期待をしていたのだが、世の中はそんなに甘くはなかった。
お姉さんは戻ってくるなり「あったわ」と言って僕の記録をコンピュータから引き出す。
「罰金は$136だけど、どうする?」
どうするって言ったって払うしかないじゃないか。
クレジットカードも使えるのだが、普段の生活ではほとんど受け付けてもらえない$100札と$50札を出して支払う。
「違反ポイントを消すためにトラフィックスクールに行こうと思ってるんだけど、どこで申し込みすればいいの?」と聞くと、お姉さんはなにやら書類をめくって調べた後、こう言った。
「あなたの違反のポイントは0点よ。だからトラフィックスクールに行く必要はないわ」
ラッキー!
実は、次回の自動車保険料がすごく値上がりすると聞いていたので心配だったのだ。
「Have a nice weekend !」というお姉さんの言葉に「You, too !」と応えて裁判所を後にする。
このところ1ヶ月間背負っていた肩の荷が下りた気分だ。
アパートに帰って、宿題。
7月25日(土)
L.A.は今日も快晴!
絶好のドライブ日和だ。
にもかかわらず、アパートにこもって一日中、宿題。
どうにか片づいた頃には夜の10時を回っていた。
あ〜あ、もったいないなぁ。
勉強が終わった頃に電話がかかってきたのでKojunの家へ行く。
そこではちょうど散髪代を浮かせるための散髪大会が行われていた。
渡りに船とはこのことだ。
渡米から2ヶ月と2週間。
伸び放題になっていた髪の毛を切ってもらうことにした。


上半身裸になってバスルームへ。
なんとバリカンもあればすきバサミもある。
L.A.にはもちろん日本語の通じる美容院がたくさんあるのだが、貧乏留学生にとってはそれすらもったいない。
さすがいつも仲間同士で散髪しあっているというだけあって腕前もなかなかだ。
30分後、終了。
う〜ん、すっきりしたぁ。
7月27日(月)
今日の授業はちょっと面白かった。
何が面白かったって、鬼のフーバー教授の本性を垣間見ることができたような気がするからだ。
期末試験まであと3日。
今日の授業はエッセイにおける「議論」についてだった。
あるテーマについて自分の意見で読者を説得するためにはそのテーマについての賛否両論を把握しておかなければならない、という説明の後、練習問題。
「アメリカ合衆国は移民を制限すべきではない」というテーマについて考え得る賛否両論の理由を考えワンセンテンスで述べよ、という問題。
否定側の根拠を示すよう指名された僕は、黒板に出て「移民を無制限に認めると治安の悪化を招く」と書いた。
事件が起きたのは僕が席に着いた瞬間だった。
「Hiro(フーバー教授は僕のことをこう呼ぶ)、どうしてそんな風に考えるんだ? 移民はみんな犯罪者だってことか?」
鬼のフーバーは何故か上気して赤鬼さんになっていた。
おいおい、別に僕の意見じゃないよ。
単に移民制限派の代表的な論拠の1つじゃないか。
それに僕は差別主義者じゃない(笑)。
でも、ここでおとなしく引き下がるわけにはいかない。
ひねくれ者の僕はありとあらゆるボキャブラリーを駆使して反論を試みる。
「文化的背景が異なる移民との間には誤解や衝突が起きやすいから…」
さらに「移民との経済的な格差は犯罪を誘発しやすい」とか「実際に移民の流入で犯罪率が上がったケースもあるはずだ」なんてことを言おうとしたが、たぶん言いたいことの半分も伝わらなかったんじゃないかな。
まさか僕が反論してくるとは思わなかったのか、フーバー教授は慌てて「だったらそれを裏付けるデータが必要だな」だって。
そういう練習問題じゃないんじゃないの?
それに、これは僕の意見じゃないんだってば。
授業が終わってからクラスメイトとも話したのだが、フーバー教授はどうやらPolitically Correct(政治的に正しい)的な意見が好きらしい。
進歩的文化人(笑)ってとこか。
そう考えると今までに書いたエッセイの中で「エイズ患者に対する差別はいかん」とか「男が料理好きだっていいじゃないか」というところに「Very good !」という赤ペンが入っていたのも合点がいく。
ファイナルのエッセイは今日習った「議論」を踏まえて書くことになるらしい。
あるクラスメイトは「じゃあそういう路線で書けば点数が甘くなるかも」と期待を口にする。
さて、どんなテーマが出題されるのか?
それは3日後のお楽しみ…。
7月28日(火)
正式に試験の日程が発表された。
明日水曜日に100問の文法テスト(1時間)。
そして木曜日にエッセイテストが行われるとのこと。
ということは授業らしい授業は今日が最後ということだ。
今日も引き続き「議論」について。
いかにして論理的、合理的に結論を導き出し、読者を説得するか。
予想される反論に対しても「確かに○○かもしれない。がしかし、そうではない。なぜなら…」という展開で論破せよ、という。
これまで5週間でやってきたエッセイ作成法の総決算だ。
といっても別段難しいわけではない。
「うちのママが『政治家はみんな嘘つきだ』と言っていた。だから政治家は信用ならない」という論理展開は説得力に欠ける、というような当たり前と言えば当たり前のことが次々に説明される。
改めて英語という言語はロジックに重きを置くんだなぁ、と思う。
アパートに帰って勉強。
と言っても今さらあがいてもどうにもならないのでテキストにパラパラと目を通すくらいだ。
すると、とたんに猛烈な睡魔が襲ってきた。
ちょっとだけ仮眠を取ろうと思って横になると、どうしたわけか6時間も眠ってしまった。
やばい。
これじゃあ夜寝られなくなってしまう!
というわけで今の時刻は夜の10時20分。
はたして万全の体調で文法テストに臨めるのか!?
7月29日(水)
泣いても笑ってもあと2日。
ついにファイナルテストがやってきた。
第1日目の今日は文法の100問テスト。
これまでのクイズもそうだったのだが、スキャントランと呼ばれるマークシート用紙をブックストアで買ってテストに臨む。
問題はフーバー教授お手製のプリント8ページ。
そのうち6割が虫食いの長文に当てはまる動詞や関係代名詞を選ぶ5択の問題。
残りの4割は不定詞や動名詞に気をつけて文章が正しく成立しているかどうかを選ぶ2択の問題だ。
基本的にはこれまでに受けてきたクイズの総決算といった感じ。
制限時間は80分だ。
15分前に一通り終わって見直しに入る。
と言っても考えれば分かるという問題ではなく、知らなければまったくダメ。
ケアレスミスをチェックしてあとは運を天に任せるしかない。
自信を持って答えられたのは約60%。
偶然の正解を入れれば何とか70点はいけるんじゃないか。
カフェテリアでカールス Jr.のハンバーガーをつまんで帰宅。
明日はいよいよエッセイ。
今さら特別な勉強をしてもどうにもならないのだが、せめて学生らしく(笑)、ヤマを張っておこう。
「議論」というくらいだから何か意見が分かれるテーマに違いない。
これまでに「AIDS」や「移民制限」について授業でやってきたフーバー教授の指向性から想像して、僕の予想はこれ!
「死刑」「妊娠中絶」「同性愛」「銃規制」
世界中どこの国からの留学生も同じ距離感で論じられるテーマか、いかにもアメリカらしいテーマのどちらかだと思うからだ。
ズバリ僕の本命は前者の理由で「死刑」。
ただ、この4つについてはいつでも議論を展開できるように論旨をメモでまとめておく。
もちろん日本語で(笑)。
その他、テキストに例題が載っていた「安楽死」「タバコ」「ドラッグ」も怪しいかな。
一応、何となく考えておこう。
さて、ズバリ的中か、それとも大ハズレか!?
結果は明日のお楽しみ!
7月30日(木)
ズバリ的中〜〜〜!
いやぁ、こんなに上手くいくとは思わなかった、ホント。
ファイナルエッセイのお題は次の4つの中から1つを選べというもの。
「ESLクラスの成績をCR(クレジット)/NC(ノンクレジット)の2段階でつけること」
「同性愛者に平等権を与えるべきか否か」
「ドラッグの合法化」
「教育におけるテストの意義」
賛成か反対のどちらかの立場で最低3つの根拠を示し、そのうち1つについては反対意見を論破せよという条件付きだ。
「同性愛」と「ドラッグ」については展開まで考えてあったので、問題を見た瞬間に思わずニヤッとする。
で、よりしっかり考えてあった「同性愛」を選ぶことにした。
まずは「同性愛者にとって平等権は当然与えられるべき権利である」と立論。
「ほとんどの先進国で全ての人は法の下の平等を認められている。この中から同性愛者を除外する根拠はない」
「愛する対象は権力によって制限されるべきではない。たとえその相手が同性であってもである」
とサポートしていく。
そして問題の論破部分。
「一部の人は同性愛が自然の摂理に反していると主張するかもしれない」と反論を述べておいて、「最近の研究によって同性愛は先天的な要素が強いことが明らかになっている。それはまさに自然の摂理だ」と否定する。
さらに、「先天的な性嗜好性で差別するのは肌の色で人間を差別するのと同じで許されるべきではない」とアメリカ人の一番弱いところを突く。
最後に「同性愛に否定的な意見を持つ人は感情的なことが多い。あくまで冷静かつ論理的に考えるべきである」とまとめる。
ふぅ、終わった。
制限時間2時間に15分残して書き上げた。
これで単位は大丈夫だろう。
授業が終わった後、フーバー教授のところに「一緒に写真を撮って欲しい」と頼みにいくと、「with me ?」といいながら慌ててメガネを外しシャツのしわを整える。
意外にオチャメなのね。

これが“鬼のフーバー”の素顔です。
これからSanta Monica CollegeでESLを取るみなさん、確実に単位を取りたいという方にフーバー教授はお薦めしません。
事実、今日現在でCRがついているのは30人中たったの6人です。
もっと評価の甘い先生はいくらでもいますから。
ただし、本気で書く力をつけたいという方にとってフーバー教授は決して悪い選択ではないと思います。
少なくとも僕にとって彼の授業は意義がありました。
他の先生の授業を受けていないので風評でしかありませんが、ESLレベルでこれだけ多く書かせる先生はいないようです。
どうせ正課の授業になったらイヤというほど書かされるのですから、この段階で力をつけておくのもいいじゃないですか。
とにもかくにも僕のアメリカでの最初の学期は幕を閉じた。
明日からは丸1ヶ月の夏休み。
しかし、大学院の授業についていくためにまだまだ英語力が足りないのは自分が一番分かっている。
あと1ヶ月でどこまで成長できるのか。
やるべきことはいくらでもある。
がしかし、せめてこの週末くらいは何にも考えずにゆっくりしたいのがホンネなんだよなぁ。