「Los Angeles留学日記」

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「Los Angeles 留学日記」

大学院99年春11
(1999年5月11日〜)

5月11日(土)

午前9時起床で学校へ。
New Direction in Electronic Mediaの授業だ。

まずは先週の積み残しで人工知能について。
Gotthoffer教授は「Eliza」というソフト(おそらくフリーorシェアウェア)を立ち上げてデモンストレーションする。
これはコンピュータがカウンセリングをしてくれるというアプリケーション。
プレイヤー(っていうのか?)が打ち込む文章に応じてコンピュータが臨機応変の受け答えをしてくれるのだ。

数人が次々とキーボードの前に座り“相談”する。
これがなかなかよくできていて、多少の無理はありつつも会話自体はきちんと成立するのだ。
最初は「セックスについて聞こうぜ」なんてちゃかしていたクラスメイトが最後はモニターに釘付けになっていたりして面白かった。

後半はインターネットの規制問題について。
MarikoちゃんとElainのプレゼンテーションの後、ディスカッションに入る。

予想通り、アメリカ人のクラスメイトたちの多くは表現の自由は最大限に尊重されるべきだと考えていた。
ドイツでは法律で禁止されているネオナチのサイトを放置したとしてCompuserveドイツ法人の責任者が当局に拘置されたという話が出ると、「それは人権の侵害だ!」と反応する。
逆にアメリカで(一部を除いて)禁止されているカジノやチャイルドポルノがOKの国もあるんだという話になると発言は少なくなる。

時々感じることだけれど、アメリカという国は自分たちのやり方に自信を持ちすぎていて他の価値基準に対する想像力が働きにくくなっているんじゃないのかな。
例えば日本に観光で来たアメリカ人が徹頭徹尾英語で通そうとするのもそういうことなんじゃないだろうか。
自国内の多様性については重視しているというのに。

そんなアメリカにインターネットの規制を任せてちゃいけない、文化の多様性を訴えなくては、と僕も日本のチャイルドポルノ事情について1回発言(笑)。

僕は世界中の国々が一致できるルールを議論すべきだと思っていた。
それはおそらく普遍的で最低限の規制になるだろうと。
がしかし、今日気がついたのは、それを誰が規制できるのだろうというという疑問だ。

インターネット上の情報は量が多すぎる。
それに昨日存在した情報が今日は消えているということもしょっちゅうだ。
そんなうつろいやすい情報をいったい誰がモニターし、取り締まることができるだろう。
プロバイダーにその役目を押しつけるのは筋違いというものだ。
まさか秘密警察や密告制度でも作るのか?
そりゃ、無理だ。
つまり、たとえ規制が成立したとしても実効性に欠けること甚だしいということ。
それとも技術の進歩はそんな取り締まりさえ可能にするのか?
なんかヤだなぁ。

Midterm Paperが返却される。
95点。
よしよし。

授業の後、Office of Admissions & Recordsへ。

成績証明をUSCに送ってもらう手続きをする(2通で$6.00)。

午後4時、USCのオフィスでShelia Murphy教授と面会。
なんだかもういろんな教授と会うのがめんどくさいなぁと思っていたのだけれど、今日は来てよかった。

僕が見せたエッセイを読んだ彼女はおもむろに赤ペンを取りだして添削してくれたのだ。
中でも役立ったのは「具体的な科目名を書いて『僕はこの授業のこんなところに興味を持っている』と書いた方がいいわ」というアドバイス。
「それが『なぜUSCなのか』という答えにもなるし、担当教官にあなたを印象づけることができるわ」
ふ〜む、なるほどね。

例によって「GREの点数は厳しいわね」と一言。
「エッセイは印象に残るし他の条件は揃っているんだから受け直しなさい」
お世辞じゃなく僕に興味を持ってくれているのは分かるんだけど、Verbalで500点取るっていうのは至難の業なんだよなぁ。
やっぱり、聴講生で潜り込むしかないのかな。

5月12日(水)

午前10時起床で空港へ。
E3(Electronic Entertainment Expo)というゲーム業界のイベントを取材にやってくるテレビ朝日「トゥナイト2」の橘ディレクターをお出迎えだ。
橘さんがE3を取材するのはこれが4回目。
入れ替わりの激しいテレビ業界で1つの分野をこれだけ継続取材しているのはとても珍しい。
今ではゲーム雑誌記者も顔負けのエキスパートなのだ。

今回のリポーターは高尾晶子ちゃん。

数年ぶりに会う僕のためにふりかけやレトルトのお粥をお土産に持ってきてくれた。
なんていいヤツなんだ。

ホテルにチェックインした後、近くのBest Buyで売れ線ゲームのチェック。
今回の主目的であるネットワークゲームを綿密に調べていく。

ロケクルーと合流してダウンタウンのクラブで行われるSEGAのレセプション会場へ。
全米から小売店やメディアが集まるE3では各ゲームメーカーが関係者を招いてパーティーを開く。
その中の1つを取材しようというわけだ。

会場内をブラブラしていたらCMでもおなじみの湯川専務(今は降格して常務だったかな?)を発見!
ミーハーな僕はテレビや雑誌のカメラマンに混じってデジカメでパチリ。

ちなみに左側の人はSEGAの大川会長ですね。

メインイベントはドリームキャストのアメリカ発売発表。

日本でも人気のゲームが次々に大スクリーンに映し出され、会場からはそのたびに歓声が上がっていた。

パーティーの後、L.A.ダウンタウンの夜景をバックに前フリの撮影。

「明日から始まるE3を前に、この美しい夜景の中、ビジネスウォーズは早くも始まっているのです!」
一発OK。
さすが高尾ちゃん、決めるねぇ。

2人をホテルまで送り届けて帰宅するとJamesからのメールでチェック済みのレポートが届いていた。
サンキュー。

5月13日(木)

午前8時起床で学校へ。
Jamesがチェックしてくれたレポートを持ってGotthoffer教授のオフィスを訪ねる。
提出する前に一度目を通してもらい、アドバイスをもらおうというわけだ。

細かい英語の直しは数カ所あったものの、大筋ではOK。
「なかなか良くできてるよ」とお墨付きをもらう。
これでリライトすればそう悪い点数は付くまい。

授業はJavaScriptの最終回。
Jamesが録音してきてくれた音声テープをMacに取り込んでデジタルファイルにコンバートする。
全体構成はほぼできているので、あとはこの音声ファイルを組み込むだけだ。
授業の時間内には完成させられなかったので残りは僕が持ち帰って自宅で作業することにする。

授業が終わったその足でダウンタウンのコンベンションセンターへ。

いよいよ今日から始まったE3の取材だ。
E3とはElectronic Entertainment Expoの略で、要するにゲーム関連の見本市。
朝一番から会場入りしている「トゥナイト2」取材班に合流する。

広い会場内に最新ゲームがズラリと並び、雰囲気は超巨大ゲーセンといったおもむき。
ゲーム専用機の展示では当然ながらSONYNintendoSEGAのメイド・イン・ジャパン御三家が最大面積を占め、それぞれの目玉である「プレステ2」「ポケモン」「ドリームキャスト」には人だかりができていた。

僕の仕事はカメラクルーがゲーム専用機の展示を取材している間にパソコン用ゲームの会場をチェックしておくこと。
そうやって分担しなければ取材しきれないほど会場が広いのだ。

日本でゲームといえばゲーム専用機が中心だけれど、パソコンの普及率が高いアメリカではPCゲーム市場も大きい。
中でもモデムによるインターネット接続を利用したネットワーク対応ゲームが人気となっている。
例えば格闘ゲームなら、同時に接続している見ず知らずの他人とオンラインで闘うというシステムだ。

フラットレートで電話代を気にせずにつなぎっ放しにできるアメリカだからこその人気だけれど、日本でも近いうちに(早ければ今年夏にも)電話料金の定額制が実現するというから、チェックしておかずにはいられない。
ついでにお約束のコンパニオンもね(笑)。

約束の時間から30分遅れてカメラクルーと再合流。
なんでもNintendoブースで宮本茂さん(「スーパーマリオ」や「ゼルダの伝説」を作った人)のインタビューが撮れたという。
任天堂松下電器が組んでDVDを使った次世代ゲーム機(CPUはIBMが提供)を作るっていう発表があったんですよ。その辺を突っ込んで聞かなきゃ、と思って」と橘ディレクター。
さすが、抜け目がない(笑)。

続いてはEIDOSブースへ。
あのDoomを作ったJohn Romeroさんのインタビューが撮れることになったのだ。

真ん中の長髪の人がJohn Romeroさん。
インタビュアーはもちろん高尾ちゃんだ。

彼の新作タイトルは「DAIKATANA(大刀)」。
タイトルからも分かるように彼は大の日本びいきだ。
インタビューでも「日本には素晴らしいゲームクリエイターがいるし、僕は日本のゲームにとても影響を受けている」と言っていた。

彼が言うまでもなく、この会場にいればハード、ソフトを問わず、ゲーム業界における日本の存在感の大きさは一目瞭然。
もちろんビジネスとしての側面もあるけれど、僕はそれ以上に文化としての側面を強く感じた。
ハリウッド映画が世界を席巻するように日本製ゲームは世界に通用するエンタテイメントだ。
世界中のユーザーやクリエイターが日本のゲームに注目している。
単なる遊びの枠を超え、ゲームを通じて日本という国を理解する外国人が多いということに日本人は誇りを持ってもいいんじゃないか、と。

ここで今日の取材は終了。
その後、日本唯一のネットワークゲーム専門誌Play Onlineの編集長、記者の方と一緒に夕食。
橘ディレクターはここでもしっかり情報収集しながら、インタビューの約束を取り付けていた。

取材がギリギリまで決まらなかったため、ほとんどアポイントなしで来たにもかかわらず、現場で次々と大物のインタビューを決めていく橘さん。
敏腕ディレクターの本領発揮だ。
側にくっついているだけで刺激的な話が聞ける僕はおいしいよなぁ。

5月14日(金)

午前8時起床。
今日は授業がないのでE3の会場に直行する。

僕の仕事は今日も会場の下見役。
カメラクルーがPC用ゲームの会場を撮影している間に周辺機器のフロアを一周して取材の目星を付けておくのだ。

待ち合わせの時間より早く下見が終わったのでゲーム専用機のフロアに行ってプレステ2のデモをチェック。

見た感じは操作画面の描写が緻密になっている。
例えば、ファイナルファンタジー8のオートイベントレベルの3D画面をコントローラーで操作できるといった感じだろうか。
現行プレステではムービーとして見るだけだった画面をグリグリと操作できるというわけだ。
しかも、3Dの制作環境もずっと簡単になっているという。
こりゃ、本格的な3Dゲームがどんどん出てくることになるんだろう。

待ち合わせ場所に戻ると、すぐ近くで休憩している台湾のテレビ取材班を発見。
「どんなところに注目して取材しているのかインタビューしよう!」ということで声をかけると快諾。
こちらの取材が終わると今度は逆に高尾ちゃんがインタビューを受けることになった。

よっ、国際派リポーター!(笑)

コンベンションセンターを後にして、次はチャイニーズシアターへ。

チャイニーズシアターといえば映画スターの手形・足形があることで有名だが、もちろんR2D2とC3POのものもある。

そう、次のネタはスターウォーズだ。

ここチャイニーズシアターには来週19日から公開されるスターウォーズを誰よりも早く見ようと熱心なファンの行列ができている。
「公開まであと5日」という看板の下にはテント村。

4月から1ヶ月以上ずっと並んでいるというファンに直撃インタビューだ。

ここ数週間、毎日のように地元ローカルニュースの生中継が行われてきたこの場所。
一時は1000人の行列ができていて、彼はのべ50社以上のマスコミから取材を受けたという。
昨日からチケットの前売りが始まったのでだいぶ落ち着いたけれど、それでもまだ数十人が残っている。

目の前のハリウッド通りに観光バスが停車。
耳をそばだてているとガイドが「ここに並んでいるのはスターウォーズを一番に見ようという人たちです」と説明していた。

面白いのはこのテント村に設置されたビデオからインターネット中継が行われているということ。

見ていると学生サークルのノリみたいで楽しそうだなぁ。

ちなみに公開初日の第1回目上映は午前0時1分。
この回のチケットはもちろん売り切れているが、まだ日中の回なら余裕あり。
「トゥナイト2」取材班も午前9時の回のチケットを記念に購入した。

これにて今日の撮影は終了。
夕食はコリアタウンで焼肉をごちそうになる。
よく考えてみたらL.A.に来て以来、3日連続の外食というのは初めてのこと。
お腹がちょっとびっくりしてるかもしれない(笑)。

5月15日(土)

午前8時起床で今日もE3の会場に直行。

待ち合わせの時間より早く着いたのでウロウロしていたら、こんなものを発見した。

E-mail Access Station。
そう、ここから誰でも自由に電子メールを無料で送ることができるのだ。

以前からこうしたExpo会場にはビジネスステーションがあって、メディア関係者がそこから原稿をFAXで送るというのは当たり前だったけれど、今は電子メールなんだ。
もちろん、記者以外の人も自由に使うことができる。
便利な世の中になったもんだ。
橘ディレクターいわく、E3会場ではすでに数年前から設置されていたという。

さて、今日の撮影はまず周辺機器のフロア。
台湾やフランス企業のブースでそれぞれのお国のゲーム事情などをインタビューする。

続いては一昨日お会いした日本唯一のネットワークゲーム専門誌Play Onlineの辻編集長インタビュー。
おそらく、日本で最もネットワークゲームに精通している方だ。
「鈴木さん、せっかくこっちでマルチメディアの勉強してるんだから手伝って下さいよ」という橘さんのリクエストで僕がインタビューさせてもらうことになった。

5年ぶりにマイクを持ってカメラの前に立つ。
それほど緊張しているつもりはなかったのだけれど、いきなりNGの連発。
スタッフが失笑している中、心優しい辻さんや高尾ちゃんのフォローのおかげでなんとか無事に終了。
この模様は24日(月)の「トゥナイト2」(テレビ朝日系23:55〜)で放送されます。

辻さんといろいろ話していて面白かったのは「ネットワークゲームの本質はチャットにある」ということ。
「ゲーム自体はもちろんだけれど、それよりもプレイヤー同士のコミュニケーションが楽しいんですよ」
なるほど、やっぱりそうなんだ。
これについては僕もちょうど同じようなことをファイナルのレポートに書いたところだから素直に納得できた。


引き続き会場内を取材して予定の撮影を全て終了。

お世話になったカメラクルーの皆さんに別れを告げ、橘さん、高尾ちゃんと一緒にコーディネーターのKokoさんお薦めのベトナム料理店へ。
おおっ、連続外食記録を更新だ(笑)。

夜は2人が宿泊しているホテルの部屋へ。
マルチメディアやゲーム、日本のテレビなどについて雑談。
気がついたら深夜3時。
同じ分野に興味を持っている橘さんとの話はとても刺激的だった。

5月16日(日)

午前9時半起床。

橘さんと高尾ちゃんをホテルでピックアップして空港へお見送り。
来月、一時帰国したときの再会を約束して別れる。

アパートに帰ってきて篠原さんと「Inside Edition」の翻訳作業。
僕も篠原さんも先週がファイナルの山場だったので2週分たまってしまったビデオをチェックする。
1本30分の番組が10本。
さすがに5時間分まとめて見るのはしんどい。

少し仮眠をとってファイナルレポートと出願用エッセイの最終チェック。
橘さんが持ってきてくれた「トゥナイト2 スゴ〜イ!1000回もイッちゃった!視聴者大感謝祭」(なんじゃ、このタイトルは。書いてて恥ずかしいぞ(笑))のビデオをじっくり見るのはもう少しだけおあずけだ。

そうそう、今発売中の雑誌「エグゼクティブ」6月号に去年の夏に取材を受けた僕の記事が載っているという情報をKimikoさんからメールでいただきました。
さっそく本屋に行って立ち読みしなきゃ。

5月17日(月)

正午起床。

昼食の後、在ロス・アンジェルス日本国総領事館へ。
無事、10年用のパスポートを受け取る。

「トゥナイト2」の橘ディレクターから「19日に放送するスターウォーズ特集の中でチャイニーズシアター前とスタジオで電話生中継をやりたい」というメールが届いていた。
先日、撮影に行ったときに「こんなことができたらいいね」と話していたアイデアだ。

日本時間の19日深夜といえばこちらの時間で19日の朝。
行列に並んでいたスターウォーズファンの日本人を見つけてチャイニーズシアター前の公衆電話から国際電話すればいい。
「ぜひやりましょう!」という返事を送る。

「もしファンの日本人が見つからなかったら鈴木さんにお願いするという可能性もあります」
それなら僕もその前に一応スターウォーズを見ておかなければ。
だが、放送に間に合う時間のチャイニーズシアターのチケットはすでに売り切れ。
Mikioさんからサンタモニカの映画館ならまだ19日午前0時15分上映分のチケットが入手できそうだという情報を聞いたのでさっそく行ってみた。

「STAR WARS EPISODE I TICKETS NOW ON SALE」の看板を見つけ、窓口で聞いてみると、やはりあった!

学生割引で$5.50のチケットを無事入手。
これで万一の時も大丈夫だ。

アパートに帰ると、去年取材を受けた「エグゼクティブ」の編集者、稲田さんから6月号が届いていた。
「おおっ、これで立ち読みしなくて済む(笑)」と僕の記事を探すと、あった!
30ページにしっかり写真付きで出ている。

記事も写真も実物よりカッコイイ(笑)。
稲田さんがその後もこのホームページを読んで下さっていたのが分かって嬉しくなってしまった。
しかも、他社にもかかわらず本の宣伝までしていただいて感謝感激だ。
稲田さん、本当にありがとうございました。

5月18日(火)

午前9時起床で学校へ。
New Direction in Electronic Media最後の授業だ。

「インターネットはこれまでに生まれたテクノロジーと同じ発展の歴史を歩む」というお題でMikeがプレゼンテーションし、30分ちょっとで授業終了。
書き終えたレポートを提出する。
Gotthoffer教授がCSUNを去るというニュースはほとんどの学生たちが知っていて、残念がっていた。

授業の後、クラスメイトのMakiちゃん、Marikoちゃんとカフェテリアで雑談。
なんとかこのクラスも終えることができたのも2人に助けてもらったおかげだ。
どうもありがとう。

アパートに帰り、木曜にデモンストレーションするJavaScriptの最終チェック。
まだ動作が不安定だけど、なんとかなるだろうと楽観する。


夕方のニュースではチャイニーズシアター前からの中継でスターウォーズの盛り上がりを伝えていた。

2時間ほど仮眠をとって、夜11時、サンタモニカの映画館へ。
そう、スターウォーズだ。

上映時間まで1時間以上もあるというのに映画館の前には長蛇の列。
時間差で上映される3館に分かれた行列が延々と続き、おもちゃのライトセイバーでチャンバラをやっているファンもいる。
待ち合わせしたMikioさんも「ワクワクしてきましたねぇ」と興奮を隠しきれない。
なんと、エキサイトし過ぎたファンが制服姿の警官に連れて行かれるくらいの盛り上がりなのだ(笑)。

午後11時30分、開場。
場内はもちろん満員。
時折、上映を待ちきれないファンから歓声が上がる。
まだ幕も上がっていないのに(笑)。

午前0時15分、いよいよ開演。
20世紀フォックスのファンファーレが流れ、ルーカスフィルムのロゴが映し出された瞬間、場内の興奮は最高潮に達する。
「Long time ago, galaxy far, far away...」
おなじみのオープニングはファンの期待を裏切らない。

あっという間の2時間半。
上映中も観客たちは歓声を上げまくり、異様な盛り上がりぶりを見せた。

とにかくすごいのはCGの完成度。
時間とお金をふんだんに使いさえすれば、クリエイターの頭に浮かんだイメージで表現できないものはないんじゃないかと思うほどだ。
幻想的な海底都市から壮大なバトルシーンまで、このCGを見るだけでもお金を払う価値はある。

ストーリー的にはなんとなく不完全燃焼。
感覚的にはかつて「バックトゥーザフューチャーPart2」を見たときに似ている。
全体の物語が大きすぎて2時間には入りきらないという感じなのだ。
それなりの起承転結はあるのだけれど、全体の大きさを知っているだけに少し物足りない。
あっ、それとも足りないのは僕の英語力の方かな(笑)。

エンタテイメントビジネス的に見ると、これはかなり計算されていると思う。
登場キャラクターは魅力的で商品化しても相当いけるだろう。
途中に出てくるレースシーンはそのままテレビゲームやテーマパークのアトラクションに使うことを想定しているに違いない。
なにしろ第一作の時に他の権利は譲ってもマーチャンダイズ権だけは譲らなかったというジョージ・ルーカスだ。
一粒で何度も儲かるんだろうなぁ。

午前3時、帰宅。
明日の電話生中継に備えて仮眠。

5月19日(水)

午前6時起床。
篠原さんをピックアップしてチャイニーズシアターへ。
テレビ朝日「トゥナイト2」の電話生中継をやるためだ。

スターウォーズ公開初日のチャイニーズシアター前にはテレビ・ラジオ局の中継スタッフが数組スタンバイしている。

中には気球に取り付けたカメラで簡易空撮をやっている番組も。
観客は2〜3ブロックに渡って行列を作っている。

今回の電話出演を引き受けてくれたのは篠原さんの同級生でLos Angeles City Collegeで映画を専攻している渋谷さとるさん。
すでに午前3時30分の回に映画を見ているので、その時の様子などを話してもらえることになった。

午前8時34分(日本時間20日午前0時34分)、チャイニーズシアター前の公衆電話から東京のスタジオにコレクトコールで電話をかける。

これが本当にチャイニーズシアター前から電話したというアリバイ写真だ(笑)!

出演時間はわずか1分強。
僕もたった20〜30秒だけだったけれど、電話リポートを入れる。
あれもこれもしゃべろうとメモを作っておいたのだが、スタジオからの質問に答えるだけで精一杯。
ま、なんとか役目を果たせたかな。

帰宅すると日本の友人や関係者から「テレビ見たぞ!」というメールが何通も届いていた。
さすが「トゥナイト2」、ギョーカイ視聴率の高い番組だ(笑)。
こういう形で近況報告ができるなんて思ってもいなかった。

一旦、睡眠をとって午後4時起床。
最後の授業に備えてテキストリーディングなど。
いよいよ春学期も終わりなんだなぁ。

5月20日(水)

午前6時起床で学校へ。
今学期最後のComputer for New Mediaの授業だ。

教室でプレゼンのチェックをしていると、クラスメイトのElainがやって来て「ねぇ、Hiro、ちょっと来て」と言う。
何だろうと後をついていくと別の部屋にクラスメイトが数人集まっていた。
Elainが50cm×80cmはあろうかという巨大なカードを取り出して「Gotthoffer教授に寄せ書きを贈ろうと思うの。メッセージを書いてくれる?」。
答えはもちろんYes。
クラスメイトほぼ全員が感謝と惜別のメッセージを書き込んだ。

何事もなかったように教室へ戻り、JavaScriptプロジェクトの発表。
僕とJamesも無事プレゼンテーションをこなす。
僕らの作品は他のクラスメイトから「これはどうやったんだ?」とか「ソースを見せてくれよ」と言われるほど大好評。
教授も大きくうなずいているし、これで成績もバッチリだろう。

全員のプレゼンが済んで、ついに授業も終了。
Elainがカードを教授に手渡すと、ごく自然に拍手が巻き起こる。

「マルチメディアの分野はまだ始まったばかりで誰もが試行錯誤している段階だ。君たちがこの授業で学んだ知識や経験は業界から大いに求められるだろう。何度も言ってきたことだけれど、この世界に唯一の正解というのはあり得ない。君たちが自由な発想で活躍してくれることを期待しているよ」

教授はそう言うと、一人ひとりと握手して別れを告げる。
僕がありったけのボキャブラリーを駆使して感謝を伝えると、がっちり手を握って「Keep in touch(連絡をとり続けよう)」。
なんだかジ〜ンとしてしまった。

授業の内容についてはもちろん、それ以外のことでも常に適切なアドバイスをしてくれたGotthoffer教授。
彼と出会ったからこそ僕は自分の進むべき方向性をしっかり確認することができたのだ。
残念ながら先生と生徒という関係は今日で終わってしまうけれど、これからも友人として長くつき合っていきたいと心から思う。

これにて春学期の授業は全て終了。
後半、少し息切れしかけたけれど、なんとか終えることができてホッとしている。
やっと肩の荷が下りた感じだ。

相変わらず英語の壁は高いけれど、体調が万全で集中することさえできればディスカッションについていくことくらいはできるようになった。
しかし、自分で満足できるレベルにはまだほど遠いというのが正直なところ。
もっと耳と口を鍛えて、適切なタイミングで言いたいことをビシッと言えるようになりたいと思う。
最大の障害は授業の中身じゃなくて英語なんだよなぁ…。

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