「Los Angeles留学日記」

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「Los Angeles 留学日記」

再び99年夏休み編2
(1999年8月21日〜)
8月21日(土)
午前8時半起床でダウンタウンのヤオハンへ。
L.A.エリアで日本語放送を行っているAsahi Home Castのイベント会場でアルバ……おっと、それは書いちゃいけねぇ(笑)−−お手伝いをするためだ。

Asahi Home Castは現在、週末に数時間日本のドラマやバラエティー番組を放送しているが、今回、日本テレビと協力して衛星放送に進出。
ニュース番組や巨人戦中継などの全米放送を開始するという。
それを巨人−阪神戦の街頭テレビで大々的にPRしようというわけだ。

場所はヤオハンプラザ2階の特設スペース。
そこに61インチモニターが3台設置されていた。

L.A.でも「プロ野球ニュース」を見ることはできるが、実況中継をじっくり見ることはできないから、野球ファンにとっては貴重な機会なのだ。
会場には協力体制を組む日本テレビの取材クルーも来ていた。

僕らの仕事は集まったお客さんへのアンケート。
「現在、どんな日本語放送を見ていますか?」「どんな番組を見てみたいですか?」といった質問用紙を配り、それを回収するのだ。

放送作家時代には、番組イベントから結婚式まで様々なイベントの台本を書いたり現場に立ち会ったりしたことがあったけれど、今回は純粋に下っぱ要員としての参加。
それでもイベント会場というのはわくわくして楽しい。

ノルマは土日の2日間でアンケートを500枚回収すること!
ところが、ただでさえお客さんが少ない場所な上、急ごしらえの会場には告知のポスターもない。
これでは目標達成は厳しそうだ。
そうなるとお祭り野郎の血が騒いでくる。

みんなと相談して、まずは手書きのポスターを作ることにした。
社長さんにリクエストして紙とマジックを買ってきてもらい、「AHC Presents 巨人−阪神戦実況中継!」「アンケートにお答えいただいた方全員にもれなくウーロン茶を差し上げます」といった宣伝文句を書いて、会場入口やモニター周辺に貼りまくる。
手書きスコアボードを作って試合経過が一目で分かるようにする。
ついには巨大モニターを移動してお客さんの往来が激しい1階にも出張所を開設する。

「アンケートお願いしまぁすぅ?」とかわいらしい笑顔を振りまく女性陣の大活躍もあって、今日一日で最終的に242枚のアンケートを回収!
おおっ、明日もこのペースでいけば目標達成は確実だ。

そんな仕事の合間に僕は社長さんに話しかけて取材(という名の世間話)。
ケーブルテレビだけで100以上もチャンネルがあるアメリカのテレビ事情、衛星放送に進出した理由と編成方針、日本のテレビ局との提携関係、広告営業のシステムなどいろいろな話を聞くことができた。
うん、これは立派なインターンシップじゃないか(笑)。

仕事が終わった後、三十路〜ズのアメリカ大陸横断達成を祝して手作りのラザニアをふるまってくれるというKojunのアパートにみんなで集合。

これが旨いのなんのって、ニューヨークのリトルイタリーで食べたパスタより断然旨い!
さすがは貧乏自炊派留学生、料理に年季が入ってる(笑)。
旨い料理をつつきながら、久しぶりのバカ話で大いに盛り上がったのだった。

さあ、明日もダウンタウンのヤオハンでアンケート。
L.A.近郊にお住まいのみなさん、ぜひ遊びに来て下さいね。


8月22日(日)
午前8時半起床。
昨日に引き続きAsahi Home Castのイベントを“お手伝い”するため、ダウンタウンのヤオハンへ。

今日の仕事はまず、スタッフの方が徹夜で作ったイベント告知用のチラシ配りからスタート。
入口に立って、来店したお客さんに「巨人−阪神戦を放送しますので、ぜひ見に来て下さぁい」と言いながら、1枚1枚チラシを手渡しするのだ。

かつてビラ配りのバイトで成績優秀者だったというKanaちゃんが「チラシを2つ折りにして渡すと相手は何だろうと思って受け取ってくれる」とか「手首のスナップを効かせて素早く渡す」なんていう裏技を教えてくれたのだけれど、それでももちろん受け取ってくれない人は受け取ってくれない。
そういえば僕も日本にいたときはビラ配りのアルバイトが駅前で配っているチラシをどちらかといえば受け取らない方が多かったけれど、いざ自分が配る側になると「すぐそこのゴミ箱に捨ててもいいんだから受け取ってくれよ」なんて身勝手なことを考えてしまう。
今度日本に帰ったらテレクラティッシュでもなんでも受け取ってあげよう、と固く心に誓ったのだった(笑)。

そんな仕事をしながら考えたのは、ビラ配りは典型的な「プッシュ型」広告だなぁ、ということ。
消費者が興味を持っていようがいまいが、広告主の都合で一方的に押しつける広告。
インターネットでいえばバナー広告やスパムメールがそうだ。

一方で、同じインターネットでも企業の宣伝ホームページなどは「プル型」広告だといえる。
広告主は消費者が自分で興味のあるものを見つけ自分から能動的にアクセスしてくるのを待っているという「引きつけ」の広告だ。

従来のメディアに比べてこの「プル型」広告が圧倒的に成立しやすくなるのがインタラクティブメディアの特徴だろう。
広告主が伝えたい情報と消費者が欲している情報が一致している場合、そこに従来は考えにくかった幸せな関係が生まれるはずだ。
もちろん、消費者の需要を喚起する段階での「プッシュ型」広告はなくならないだろうけれど、これまでとは全く違う概念の広告が誕生する可能性もある。
な〜んていうことを考えさせてくれるこの仕事はやっぱり立派なインターンシップだ(笑)。

正午過ぎの放送開始と同時にアンケート開始。

チラシの効果もあって集客力は昨日より大幅アップ。
今日だけで260枚のアンケートを回収し、2日間のノルマ500枚を無事達成したのだった。

仕事の後はみんなでKanaちゃんのアパートに集まってお疲れさま会。

アパートのレクリエーションルームで卓球をやったり、部屋でバカ話をして夜中まで楽しんだのだった。

この週末はちっとも英語の勉強をしてないけれど、また明日から頑張らなきゃな。


8月23日(月)
正午起床。

昼食の後、「英会話スーパーレッスン30分」にとりかかる。
なかなかいいペースで進み、17日目まで終了。
ちっとも実感がないけれど、少しは上達しているのだろうか?
ま、1週間やそこらで伸びるほど語学が簡単じゃないのは分かっているけれど、それでも努力に対する見返りが欲しくなるのが人情ってもんだ(笑)。

夕方、Max Foodsで食料の買い出し&ヤオハンで「日刊サン」をピックアップするために外出する。
移動する車内で聞くのももちろん英会話テープ。
同じテープを何十回も聞いていると、さすがに内容を覚えてしまう。
内容を覚えている記憶力と聞き取り能力は必ずしも一致しないんだろうなぁ。

帰宅して、やっと雑誌「WIRED」を読み始める。
といっても長文の特集記事ではなく、短かくて興味のもてそうなコラムをつまみ食いで。

そこで見つけたのが「Virtual Book Burning」(バーチャル焚書)という記事。
Amazon.com(世界一のオンライン書店)がある宗教関連書籍をオンラインカタログから意図的に削除していたという事件についての記事だ。
背景にはその著書に反対するグループからの圧力があったという。

これを読んでまず僕は、かつて日本で差別的だとして書店から消え、多くが絶版となってしまった「ちびくろサンボ」事件を思い出した。
個人的にはどんな悪書でも(そもそも誰が悪書だって判断するんだ!?)手に入れる選択肢は残しておいて欲しいし、書店には言論の自由を制限する検閲のようなことはして欲しくない。
物理的な広さや書棚の数に縛られないオンライン書店ならなおさらだ。

面白かったのは、Amazon.comがこっそり削除したという事実を明るみに出したのがインターネットのニューズグループだったという点。
サイバースペースでの議論が世論を形成し、Amazon.comを動かし、削除した書籍を再び復活させたのだ。
インターネットでは大企業も一個人も関係なく、説得力のある意見が共感を集め、大きな力になるという見本だろう。
つい最近起きた「東芝カスタマーサポート事件」のように。

「33人のサイバーエリート」読了。
「インターネット革命はなにをもたらすのか」「人間とはなにか、社会とはなにか、コミュニケーションとはなにかを考察するための新たなパラダイムを提示」というキャッチコピーに嘘はない良書だと思う。
大いに刺激を受けた。
僕はホントはそれを勉強しようと思ってアメリカまで来てるんだけどなぁ。


8月24日(火)
正午起床。
テレビの天気予報が「今日のL.A.は摂氏38度まで気温が上がる」と伝えている。
久々に夏らしい陽気になりそうだ。

そんな中、ダウンタウンより確実に数度は気温が高いNorthridgeへ。
というのも、僕のホームページの熱心な読者で、この秋からCSUNへ入学する織田恵子さん、大林葉子さんと会う約束をしていたからだ。
すでにサマーセッションからこちらに来ている織田さんが勝治の友人Juriさんとアパートをシェアすることが決まったということで、そのアパートを訪ねる。

もちろん初対面だが、約1年もメールのやりとりをしていたので全く初めての気がしない。
それでも最初に「はじめまして」とあいさつする自分に笑ってしまった。

「もちろん持ってきましたよ」と織田さんが書棚から取り出した書籍版「Los Angeles留学日記」にはアパート探しと科目登録の部分に付箋が貼ってあった。
僕の本は立派に実用書の役目を果たしているらしい(笑)。

2台の車に分乗して買い出しに出かける。
まずはIKEAで家具を。

そして、Fry'sで電化製品を購入。

ちょうど去年の今頃、僕もこうやって新しいアパートでの生活を立ち上げていたっけ。

今学期からInternational Student OfficeのMentorをつとめる勝治は学内にも友人が多く、2人の新生活の大きな助けになるに違いない。
授業やCoffee Hourを通じてたくさんの友人ができたCSUNを去るのは少し惜しい気がするなぁ。

アパートに戻ると、なんと織田さんが夕食をごちそうしてくれるという。

チキンのトマト煮、ニラタマに大根サラダ!
なんと豪勢なディナーであることよ。
いくら自炊派の僕でも、さすがにここまで凝った料理はなかなか作らない、いや、作れない(笑)。
こんな料理にありつけるのもインタラクティブメディアによるコミュニケーションのおかげだと、無理やり勉強に結びつけておこう(笑)。


8月25日(水)
午後2時起床(おいおい、いつまで寝てるつもりだ(笑))。
昨夜、寝る前に手に取った「サイバースペースからの挑戦状」(河上イチロー著/雷韻出版)が面白く、ついつい朝方まで読んでしまったのだ。

下水逆流事件で湿っていたカーペットも乾いたことだし、臭い消しのパウダーをまいて掃除機をかける。
うん、これでもう大丈夫かな。
それにしても「カーペットクリーニングを呼ぶよ」と言っていたマネージャーはどうしちゃったんだ?

夕方、篠原さんがやって来て久しぶりに「Inside Edition」の翻訳作業。
夏休みだからか、それとも9月の改変前だからか、ネタの多くは再放送。
あんまり使えそうなネタはないなぁ。

そろそろ秋から通う学校を決めなきゃと思いつつ、重い腰はなかなか上がらない。
I-20は転校前の学校を辞めてから60日間有効だというから、新学期にCSUNに休学を伝えてからも多少の余裕がある。
学校が始まればどうせまた忙しい毎日が続くに違いない。
その前にしばらく自分のペースで勉強もしたいし、読みたい本も山積みになっている。
もう少し先送りしたいなぁ、という気分なのだ。

「英会話スーパーレッスン30分」は21日目まで終了。
まあまあのペースかな。

10月2日(土)から3日(日)に神戸国際展示場で行われるLanguage Expo '99のビジュアルトークショーで石川次郎さんと対談することになっているのだが、「そろそろ内容を考えて下さいね」というメールが届く。
当日は僕らがアメリカ大陸横断ドライブ中に撮影した写真やビデオをスクリーンに映し出して、それを見ながらアメリカを語るということになっているのだ。

改めて日記を読み返して、旅行中に感じたことや考えたことをまとめてみる。
次郎さんは博識だし取材経験も豊富だから、胸を借りるつもりでいろいろなボールを投げかけてみようと思う。
会場に来る人はどんな話が聞きたいんだろうな。
リクエストなどありましたらぜひメールを下さいね。


8月26日(木)
CSUNSanta Monica Collegeなどの大学では来週の月曜日から秋学期が始まる。
ということは、学生にとっては今週いっぱいで夏休みが終わってしまう。
学期の変わり目は新しい出会いの季節であると同時に別れの季節でもある。

僕がL.A.に来てから1年3ヶ月、最もお世話になった留学仲間である篠原さんが経済的な事情で大学を一時休学し、日本に帰るという話を聞いたのはつい先日のことだ。
冬学期までにはまた戻ってくると言うが、ここはみんなで盛大に送り出さざるを得まい。
ということで、いつものメンバーが集まってバーベキューパーティーを開くことにした。


会場はKanaちゃんのアパート。
ここの中庭にはプールやジャグジーに加えてバーベキュー用のコンロが備え付けになっている。
スーパーでたっぷり肉と野菜を買い込んで、さっそくパーティー開始だ。

みんなが早くも肉の争奪戦を繰り広げ始めた頃、今日の主役、篠原さんは…

アメリカ大陸横断ドライブ以来すっかり手になじんだカメラ片手にビデオ撮影中。
さすがLos Angeles City Collegeの映画学科、肉よりカメラなのだ(笑)。

バーベキューの後は卓球大会に麻雀大会。

まさかL.A.まで来て卓を囲めるとは思わなかったぞ。
いつの間に麻雀マットなんて買ったんだ!?

「そうそう、鈴木さんの本が紹介されてましたよ」とKaoruちゃんが持ってきたのは小学館の雑誌「Oggi」9月号。
日本では28日に10月号が発売になってしまうらしいが、タイムラグのあるL.A.ではまだこれが手に入る最新号なのだ。

おおっ、確かに216ページに「一風変わったユニークなタイプの日記読み物」と写真付きで出ているじゃないか!
おしゃれとは全く縁遠い僕の本がファッショングラビアと並んで載っているのはなんだかくすぐったい気もするけれど、なんにせよ人に誉められるというのは素直に嬉しいもんだ。
ところで「Oggi」ってどんな人が読んでいるんだろう?
そんなことすら知らない僕なのであった(笑)。

宴もたけなわになった頃、突然もう一つの別れが告げられた。
仲間の1人であるRyoもまた来週、実家のある愛知に帰ってしまうというのだ。

「しんみりしちゃうのは苦手だから」と最後の最後まで別れを言い出さなかったRyo。
篠原さんはまた戻ってくるが、彼の場合はこれが本当の帰国になってしまう。
しかも、実家に帰るとなればなかなか会う機会もないじゃないか。
まったく水臭いヤツだ。
どんな事情があるのかすら多くを語らないけれど、卒業を待たずして帰国せざるを得なくなった彼の胸中には複雑な思いが渦巻いているだろう。

日本にいたらきっと出会うことさえなかったであろう大切な友人との別れ。
L.A.の夏は寂しさとともに幕を閉じていく。


8月27日(金)
昨夜(というより今朝)は5時くらいまで話し込んでいたにもかかわらず、11時に飛び起きてNorthridgeへ向かう。
なんと2日連続のバーベキューなのだ。

今日のバーベキューは先学期から勝治が着々と準備を進めてきたCSUN日本人会発足パーティー。
今学期からCSUNに通わないつもりの僕は厳密にいえば部外者だけれど、「鈴木さんに紹介したい友だちがたくさんいるんですよ」という彼の誘いに甘えて、ノコノコ出かけることにした。

勝治のアパートに集合していた仲間とまずは材料の買い出し。
近くのスーパーをはしごして大量の食材と燃料を買う。

CSUNの近くにヤオハンやニジヤのような大手日系スーパーはないけれど、N.K. Marketという韓国系スーパーがあり、日本人留学生はここで日本食の材料を買っているのだそうだ。

会場はキャンパスに近いNorthridge Park。
公園の中にバーベキュー用の施設が整っており、空いてさえいれば誰でも自由に使えるようになっている。
もちろん、どこのスーパーにもバーベキュー用の燃料やコンロが当然のように売られている。

集まったのは総勢23人の日本人留学生。
今学期から入学する人もいれば、先学期で卒業して就職が決まっている人もいる。

概して集まりの悪い(!?)日本人留学生がこれだけ集まったのは勝治の人徳だろう。

ホントにいいヤツなのだ。

UCLAUSCには大学公認の日本人会があるそうだが、これまでCSUNに同様の団体は存在しなかった。
彼はこれを公式に発足させる予定なのだ。
日本人同士の交流はもちろんのこと、ウェブや掲示板を使った情報交換や日本語学科の学生とのLanguage Exchangeも計画しているという。

アメリカまで来て日本人同士で集まるなんて、という考えもあるだろう。
だが、異国でマイノリティーとして生活していて、いざというときに頼りになるのは、やはり同胞だったりもする。
特にアメリカに来たばかりで右も左も分からず、言葉も不自由だったりする留学生にとっては、こうした集まりがどんなに救いになることか。
アメリカ生活が長い留学生にとっても日系企業への就職活動の情報交換など有意義な場になるに違いない。
彼にはぜひ志を高く持って頑張って欲しいと思う。
僕で役に立つことならなんでもお手伝いするからね。

よほど居心地がよかったのだろう。
ほとんどのメンバーが公園のベンチに座ったまま話に花を咲かせ、気がついたら夜の10時を回っていた。

僕もすっかり楽しませてもらったが、さすがに2日連続で全く勉強しないのが後ろめたく、帰りの車で英会話テープのボリュームを少し上げたのだった。


8月28日(土)
日本から遊びに来る友人を迎えに空港へ。
まだまだ観光シーズンは続いているらしく、空港の駐車場は満車ばかり。
空きスペースを見つるためには構内をグルグルと3周回らなければならなかった。

ホテルのチェックインまでまだ時間があるということでとりあえず我が家に来た友人は、出発間際まで仕事が忙しかったらしく、僕の部屋でいきなり熟睡モードに突入。
僕はといえば、これ幸いとたまった洗濯物をランドリーに放り込み、「英会話スーパーレッスン30分」にとりかかる。

僕の英語コミュニケーションにおける最大の障壁はリスニング力のなさだと自覚しているのだが、これにはもしかしたらカンというか想像力が大きく関わっているのではないかと感じることがある。
例えばテレビのニュースを見ているとき、冒頭の映像で「たぶんこんなことを伝えようとしているんじゃないかなぁ」という想像が働いてそれが当たっているときは、多少難しい単語が含まれているニュースでも意外にスラスラと聞き取ることができる。
逆に最初の思いこみが外れてしまうと、その後の聞き取りはメロメロだ。
そう考えると僕のカンは相当ひどいということになるのだけれど(笑)。

「英会話スーパーレッスン30分」が24日目まで終わったところで友人が起きてきたので、ダウンタウンのホテルへ。

チェックインして戻ってくるまでのたった20分間に事件は発生した。

ホテル横のパーキングメーターに駐車した僕の車に駐車違反のチケットが置かれている!
そんな馬鹿な。
駐車料金は余分に入れたはずだぞ。

警官を見つけたら文句のひとつも言ってやろうとチケットを持ってキョロキョロしていると、観光バスの運転手がニヤニヤしながら近づいてきてこう言った。
「Here is bus zone.」

ウソだろぉ〜と思ってもう一度標識をよく見てみる。

うわぁ、やられた。
時刻はちょうど6時を回ったばかりだった。
だったらそんなところにパーキングメーターなんて設置しないでくれよ、と泣き言を言っても後の祭り。
標識をきちんとチェックしなかった僕のミスだ。

罰金は$60。
それだけあれば10日は楽勝で食っていけるのになぁ……(泣)。

「サイバースペースからの挑戦状」(河上イチロー著/雷韻出版)読了。
マスメディアに載らない情報を発信しつづける著者がインターネットにまつわる様々な事件を検証し、“過激”ウェブサイトの管理者との対談によってインターネットが既存マスメディアと異なる特性を持っているということを明らかにする。

インターネットの情報は確かに玉石混淆だ。
だが、ユーザーがそれをただ鵜呑みにするのではなく能動的に関わるリテラシーを持っていさえすれば、これほど魅力的なメディアはない。

「最も真実なるものへ速やかに到達するためには、あらゆる意見、否、誤謬すらも、これを知り、読み、比較することが大いに役立ち、かつ助けとなる」(イギリスの詩人・ミルトン)

僕が尊敬する放送作家の大先輩Kさんから学んだのはまさにこのことだ。
そんなKさんの哲学は「朝まで生テレビ」(テレビ朝日)や「本気でDONDON」(文化放送)という番組に結実している。


8月29日(日)
昼前に友人からの電話で叩き起こされ、ダウンタウンのホテルへ。
今日は駐車違反のチケットを切られないよう慎重に車を停めて友人をピックアップ。
「買い物がしたい」というリクエストに応えてロデオドライブに案内する。

日本から遊びに来る友人を案内するたびに思うのだが、Los Angelesの観光は難しい。
いわゆる観光スポットの距離が離れている上、交通手段が不便なので車がないと移動もままならないのだ。
だからこそこの街に住んでいる僕がツアコンとして頼りにされ、ただメシにありつけたりするのだけれど(笑)。

日曜日のロデオドライブは観光客でにぎわっていた。
もちろん、高級ブランドの紙袋を抱えた日本人も多い。

先日訪れたニューヨークの五番街は同じ高級ブランドが軒を連ねるエリアだが、日曜日はほとんどの店が閉まっていた。
僕らが泊めてもらった地元の住人みゆきさんは「この辺のお店は観光客なんて相手にしてないんですよ。平日のビジネスアワーに堂々と高級車を乗りつけてくるお金持ちがお得意さんなんですから」と言っていたっけ。
この差はいったい何なのだろう。
やはりニューヨークの方が都会だということなんだろうなぁ。

買い物が済んだところで、近くのスターバックスでお茶。

いくら高級ブランド街にあって客層がハイソでもコーヒーは同じ値段だから安心だ(笑)。

夕方、篠原さんが来て「Inside Edition」の翻訳作業。
少しは勉強の成果が出て英語がスラスラ理解できるかなぁと思ったが、そうは問屋がおろさない。
相変わらずキャプションを目で一生懸命追わないとダメ。
ローマは一日にして成らないんだよなぁ。

夜、「WIRED」を読んでいたら、出版エージェントJohn Brockmanの記事を発見。
んん、どこかで聞いたことがある名前だと思ったら、先日読み終わった「33人のサイバーエリート」の著者じゃないか。
がぜん興味が沸いてきたぞ。
流し読みをやめて辞書を引きながら精読することにしよう。


8月30日(月)
正午過ぎ、Mさんとそのご令嬢mちゃんが遊びに来る。
母親が単身留学しているのはやはり心配なのだろう、mちゃんがL.A.にやって来たのは6月に続いて2回目だ。
「母の具合が悪いので……」と言って仕事を休んできたらしいけれど、いつもよりはつらつとしたMさんを見ていると、まんざらそれもウソじゃないような気がする。

僕もMさんも秋学期は語学学校に通いながらUCLA Extensionの授業を取る予定なので一緒に申し込みに行こうと思っていたのだが、カタログをよく読んでいたらFAXでも申し込めるという記述を発見。
Mさんは「Life and Language in the U.S.: Conversation and Idioms」、僕は「Fundamentals of New Media for the Entertainment Proffessionals」をその場で申し込んだ。

僕が取った「Fundamentals of New Media for the Entertainment Proffessionals」は10月下旬からたった8回のクラスで授業料が$495。
他の科目に比べるとずいぶん高いが、マルチメディアの現場で働いているトップクラスの人たちがゲストスピーカーとしてやって来るというのが魅力だ。
カタログにはWarner Brothers OnlineやEMI Recorded Musicの副社長の名前もリストアップされている。
日々進化し続けている分野だけに、エンタテイメントの現場で今起こっていることを聞くのが最も実践的な教育なのだろう。
リスニング能力に不安はあるが、なんとか食らいついていきたいと思う。

その後は、来年春に向けて留学準備中のmちゃんのリクエストに応えてL.A.近郊の大学巡り。
まずは去年の夏学期に僕も通ったSanta Monica Collegeへ。

しばらく見ないうちに新しい校舎ができていたが、相変わらず日本人も多い。
ちょうど今日から秋学期がスタートしたキャンパスではブックストアや授業料支払い窓口の前に学生の長い列ができていた。

次にLos Angeles City College

篠原さんをはじめ、友人が何人も通っているが、敷地内に入ったのは初めて。
キャンパスはSanta Monica Collegeより広く、開放的だ。

そしてUCLA
ひとつの街といっても過言ではないほど広いキャンパスを車で一周して、UCLA Extensionの建物と自分の授業が行われる校舎の場所をチェックする。

最後にUCLA ExtensionのSanta Monica校舎。

UCLA Extensionの校舎はメインキャンパスの他にも市内3カ所にあるが、Mさんの授業はここで行われるのだ。

夕食をごちそうになった後アパートに戻ると、「明日日本に帰ってしまう篠原さんを囲む会」へのお誘いが留守番電話に入っていたので、再びお出かけ。
みんな明日も授業があるというのに夜中の3時過ぎまで大騒ぎ。
これだけ寝不足なら帰りの飛行機の中で熟睡できますよね、篠原さん?


8月31日(火)
Los Angeles City Collegeを休学して一時帰国してしまう篠原さんを見送るため空港へ。
新学期が始まったばかりの仲間たちも授業の合間を縫って駆けつけた。

渡米以来一度も帰国していなかった篠原さんにとってはこれが2年半ぶりの日本だ。
「旨い寿司をたっぷり食ってきますよ。もちろん人のおごりで」と笑ってゲートに向かいながらもビデオカメラを手放さないところが映画学科スピリット(笑)。

そこにデジカメを向けて“カメラ対決”してる僕も僕だけれど(笑)。

僕と篠原さんが出会ったのは今から5年ほど前、ある深夜の音楽番組でだった。
超売れっ子アーティストを多数抱える音楽制作会社で働いていた篠原さんと、放送作家だった僕は、番組の台本について毎週、毎週、細かい打ち合わせをしたものだ。

そんな2人がL.A.で再会したのはまったくの偶然。
もし篠原さんと会っていなかったら、僕の留学生活が数倍苦難に満ちていたであろうことは想像に難くない。
L.A.で最もお世話になった恩人が数ヶ月間とはいえいなくなってしまうのはとても寂しい。
早いとこ帰ってきて、またいろんな話をしましょうね。

観光客でごった返す空港を後にしてTorranceへ。
Mさん母娘と合流し、昨日に引き続き大学巡りにくり出す。

今日訪れたのはEl Camino College

落ち着いた雰囲気の美しいキャンパスだ。
日系企業が多く進出しているTorranceはMさんの生活圏でもあり、治安も悪くない。
すっかり気に入ってしまったMさんは「ここにしなさいよぉ」と大プッシュ。
娘を異国に出す母親としてはやはり安全面が気になるのだろう。
肝心のmちゃんは「さあねぇ……」とすっとぼけていたけれど(笑)。

その後は少しだけ観光ドライブ。
かの松田聖子も引っ越してきたという海沿いの高級住宅街Palos Verdesへ。

美しい太平洋を臨む高台にはハイソな豪邸が軒を連ね、切り立った崖の下の海ではサーファーたちがパドリングしている。
同じ高級住宅街でも、ビバリーヒルズと比べると、ここは肩の力が抜けた自然体といったおもむき。
いいなぁ。
宝くじが当たったらここに家の1軒も建てたいもんだ(笑)。

夕食はMさんのアパートで手料理をいただく。
どうもごちそうさまでした。

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