1月1日(金)
昼過ぎにゆっくり起床。
テレビをつけたらKTLAでローズパレードを生中継していた。
ローズパレードとは年に一度L.A.近郊の街パサデナで行われる元日の風物詩。
主に企業や団体がたくさんの花で装飾されたフロートという山車みたいな車を出し、街をねり歩くのだ。
イメージとしては街をあげて盛り上がるディズニーランドのパレードみたいなもの。
ニュースによると約75万人の観客が集まり、世界100カ国以上約4億人がテレビで視聴するという。
正月らしいイベントが少ないL.A.では貴重な新年のイベントだ。
で、新年一発目のお出かけはそんなローズパレードではなく、L.A.エリアの南西端に突き出した半島の街Palos Verdes。
Long Beachに近いこの街は「地球の歩き方」によると「海と丘に恵まれた素晴らしい環境で高級住宅地として名高い。観光ポイントがあるわけでもないが、ぜひドライブで一周してみたい」とのこと。
前から気になっていたので、友人が来ているついでにドライブすることにしたのだ。
Marina del Reyから砂浜の海岸沿いを南に流すこと約1時間。
道がくねくねと丘を登り、赤い屋根に白い壁の地中海風高級住宅が並び出す。
突然、視界が開けたと思ったら、それまでの砂浜とは全く違う断崖絶壁の海岸が現れた。

眼下の海には波待ちのサーファーが小さく見え、西に傾いた太陽がキラキラと水面を照らす。
なかなかの絶景だ。
さらに走ること15分でWayfares Chapelに到着。

全面ガラス張りのこのチャペルは通称「グラス・チャーチ」と呼ばれ、何と2年先まで結婚式の予約が入っているという人気スポット。
元日だというのに今日も式が行われていた。

(真ん中に小さく見える白いのがウェディングドレスの花嫁です)
友人のリクエストで週明けにはサンディエゴ、メキシコ国境までドライブする予定。
先日は雨に降られてしまったLa Jollaにもまた寄ってみたいと思う。
1月2日(土)
友人の買い物につき合ってダウンタウンのDuty Free Shoppersへ。


帰国の航空券を持っていない僕は当然ながら買い物することはできず、ただ見てるだけ。
JTBやH.I.S.の観光バスが次々にやって来ては観光客が送り込まれていく。
続いてはビバリーヒルズの大型ショッピングモールBeverly Center。

こちらも正月だというのに人でいっぱい。
有名ブランドのブティックに「Sale!」「40-50% OFF!」という派手な表示が並んでいる。
がしかし、やはり僕はただ見てるだけ。
な〜んだ、航空券を持っていようが持っていまいが関係ないんだ(笑)。
ちょうどKojunの彼女Sumiyoちゃんが遊びに来ているということで、篠原さんも一緒にコリアタウンでディナー。
よく考えたら僕は本当によく韓国料理を食べているなぁ。
だってL.A.のコリアンレストランは安くて旨いんだからしょうがない。
さて、明日から1泊2日でサンディエゴ・メキシコ国境ツアーの予定。
ということで更新は明後日以降になるかもしれません。
ご了承下さい。
1月3日(日)
冬休み観光大作戦第2弾・サンディエゴ・メキシコ国境ツアー!
朝9時にアパートを出発してフリーウェイI-405を南へ。
Irvineの先でI-5に合流してさらに南へ。
やがて右手に太平洋が見えてくる。
天気は快晴。気持ちのいいドライブだ。
2時間ほどで第一の目的地、SeaWorldに到着。
入口でもらった地図とタイムスケジュールを片手にまずはShamu(シャチのこと?)のショーへ。

こういうショーを前に見たのはいつだったろう。
ずいぶん久しぶりだ。
Shamuと人間の信頼関係が見ているだけでもよく分かる。
しかし、それ以上に興味深かったのはエンタテイメントとしての完成度の高さだった。
ジャネット・ジャクソンのようなワイヤレスマイクをした出演者とShamuがプールと舞台を広く使って自由自在に立ち振る舞い、センターの大きなモニターにはリアルタイムの映像とVTR、さらには絶妙のタイミングでリプレイまで映し出される。
選曲もよく練られていて、演出効果を高めている。
本当に良くできたショーだと思う。
確か、どこかの大学に「テーマパーク・マネージメント」という学科があったが、きっとこういう演出を勉強するんだろうな。
全てのショーを見ることはできなかったが閉園時間が来てしまったので、I-5を少し北に戻って滞在予定のLa Jollaへ。
ダウンタウンを車で回ってLa Jolla Cove Suiteというモーテルに泊まることにした。

ちょっと高いが部屋から海が見えるという魅力は捨てがたい。
ゆっくり休んで、さあ、明日はメキシコ国境越えだ。
1月4日(月)
午前9時起床。
部屋のベランダから見る海がとてもまぶしい。


う〜ん、これぞ西海岸!
先日来たときには雨にたたられたLa Jollaだが、十分雪辱は果たしたっていう感じだ(笑)。
フロントで地図をもらってブラブラ散歩してみてもこの前とは雰囲気が全然違う。


ここLa Jollaの目玉の一つが野生のSeal(アザラシ、アシカ、オットセイの総称。このうちどれなのかは不明)が見られること。
フロントで教えてもらったポイントに来てみると、いるわ、いるわ。


30頭近いSealが波打ち際で甲羅干し(甲羅なんてないけど)している。
このエリアはSealの保護区になっていてロープから先には入れないのだが、ほんの2〜3メートル先でSealが大あくびしているのだ(ホントに!)。
時々水につかってはまたヒョコヒョコと砂浜に戻ってゴロ寝。
一つ一つの仕草が愛らしくていつまで見ていても飽きない。
家族連れの子供なんて、もう食い入るように見ているのだ。
かつて高級リゾート地だった(もちろん今もそうだが)ここLa Jollaだが、最近は若いサーファーも増えてきて安いアパートやモーテルも多いとか。
車で10分のUniversity of California San Diegoに通うためにここに住むなんていいだろうなぁ。
モーテルをチェックアウトしてI-5を南へメキシコ国境に向かう。
サンディエゴのダウンタウンを通過して約15分、「U.S. Last Exit」で降りると巨大な駐車場や保険屋の看板がいくつも並んでいる。
レンタカーも含めアメリカの自動車保険は国境を越えたとたんに無効になってしまうので、ここに車を置いていくか短期の保険をかけていくということなのだろう。
駐車料金の相場は1日$5〜6。
だが、すぐ隣にあるショッピングセンターに置いておけばタダだという情報を僕は事前に入手していた。
車を置いて歩いて国境へ。
アメリカからメキシコに入るのに特別な手続きはいらない。
鉄の回転扉をくぐればもうそこはメキシコなのだ。
以前にスイスからイタリアへスキーで国境を越えたことはあるが、歩いてというのは初めての体験。
扉を過ぎたとたんに何となく空気が違うような気がした。


国境の街・Tijuana。
メインストリートであるRevolucion通りまでは徒歩で15分ほどだ。



物乞いの子供たちを見て、前に行ったことのあるタイやインドを思い出した。
しかし、ラジオから流れてくるのは明らかにラテン系の音楽。
子供たちはともかく、客引きのおじさんたちは陽気だ。
日本人観光客も多いと見えて、彼らは日本語が上手い。
銀製のアクセサリーや偽物のブランド時計やバッグを並べて「ミルダケ、タダ」「アメヨコヨリ、ヤスイヨ!」「ビンボープライス!」。
「ビンボー」という言葉に思わず反応してしまい(笑)、そこでランチをとることにした。
「本物のメキシカン・フードを食べたいならこれだよ」という陽気なおじさんのお薦めで出てきたのがこれ。

白身魚とビーフ、ライス、サラダ、ピーンを薄い皮に巻いてチリソースと一緒に食べるのだが、これがなかなかいける。
値段は$5.75だった。
Tijuanaではたいていのものの値段にドルとペソが併記されていてドルさえ持っていれば両替の必要はない。
篠原さん情報でタバコが安いと聞いていたのでおじさんに聞いてみたら「オレがひとっ走り買ってきてあげるよ」と言う。
値段を尋ねたらマルボロ1カートンで$12(L.A.の半額!)。
もしかしたら自分の取り分を上乗せしているかもしれないとも考えたが、頼んでしまうことにした。
5分ほどでマルボロを抱えたおじさんが帰ってきた。
「チップをくれ」というので食事代の分も合わせて気持ちだけ渡す。
おじさんが少し不満げな顔をしたのは気のせいだったろうか。
歩いて街をブラブラしていたら日が暮れてきたので再び国境へ。
アメリカに再入国するにはパスポート(留学生である僕は有効なF-1ビザと裏書きされたI-20も)が必要だが、入国審査はL.A.の空港よりずっといいかげんだ。
今読んでいる「文明の衝突」によると、元々ラテンアメリカ文化圏に属するメキシコはアメリカに代表される西欧文化圏に移行するかどうかの選択を余儀なくされているという。
そういう意味でメキシコ第4の都市・Tijuanaは最も西欧化の進んだ街なのだろう。
機会があったらぜひメキシコの他の街にも行ってみたいなと思った。
車を停めたショッピングセンターで少しだけ買い物をして帰途に着く。
我が家までは約3時間のドライブ。
アパートにたどり着いたらホッとした。
よく考えたら渡米してから泊まりがけで外出したのは初めてなのだ。
この安堵感。
やっとL.A.がMy townになってきているのかもしれない。
1月5日(火)
午前8時起床。
日本へ帰国する友人を見送りに空港へ。
アメリカの「正月休み」は実質的に元日だけなのでそんなに混雑していないだろうと思っていたのだが、さすがに成田行きのノースウエスト便は満員だった。
空港に行ったついでに(わざわざ空港からでなくてもいいのだけれど…)、電話でユナイテッド航空に問い合わせ。
僕がL.A.に来たときの往復チケットの返金について聞きたかったのだ。
僕が買ったのは1年間有効のゾーンペックスという正規割引チケット。
買ったときのカウンターの人の説明では手数料を支払えば返金可能と言っていたのに、問い合わせ窓口の人はそれはできないと言う。
名義変更も路線変更もダメらしく、5月10日までに利用しなければチケット自体が無駄になってしまう。
あ〜あ、ちょっとした臨時収入になると思っていたのになぁ。
こんなことなら最初から片道チケットにしておけばよかった。
空港からの帰り道は日射しも暖かく、何となく春の陽気。
天気予報は華氏表示なのでピンとこないけれど、ここ数日の最高気温は摂氏25度前後なのだ。
アパートでのんびりしていたら篠原さんから電話。
元留学生でL.A.に遊びに来ていたSayuriちゃんの送別ディナーへのお誘いだ。
場所は本人の希望で焼肉屋だという。
あらら、また焼肉だ(笑)。
でも、旨いもんはいくら食っても旨いんだよなぁ。
日本でこのホームページを読んでくれているというSayuriちゃんのリクエストで記念撮影。

(左から順番にKaoruちゃん、篠原さん、Sayuriちゃん、Mikioさん)
彼女は現在恋人募集中だそうです。
こんな感じでいいかな、Sayuriちゃん(笑)。
1月6日(水)
今日から英会話学校GEOSの授業が始まった。
1回3時間、週3回のプライベートレッスンだ。
先生は親子3代カリフォルニアっ子だというJohn先生。

「外国語を勉強するのが好きなんだ」というだけあってスペイン語、フランス語も話し、大学では日本語を専攻したという語学のプロフェッショナルだ。
かつて英語教師として日本の長野に滞在した経験もあるという。
まずは「この年末年始はどう過ごしてた?」なんていう無難な質問からスタート。
僕の答えを聞きながら実力をはかっているという感じだ。
10分ほどやりとりをしていいなと思ったのは、僕が間違った言い回しをした時にすぐに正しい表現を提示して、僕にそれを完全なセンテンスでくり返させるところ。
文の一部だけ言い直すのではなくセンテンス全体を言い直すには正しい文法も理解していなければならないから、これは役に立つと思った。
面白かったのは彼が「アメリカも日本も、そしてそれ以外の国でも1月に新年を祝うけど、これは偶然だと思うかい?」と聞いてきたときだ。
僕は「偶然ではないと思う。多くの国で冬至をカレンダーの節目にしているのは次の日から昼の時間が長くなる、つまり希望が始まる日と認識しているからで、新年もこれと関係があるのではないか。クリスマスもキリストの誕生日が正確に記録されているわけではなく、冬至を祝う古代信仰と結びついて12月25日を『希望が始まる日』としたのではないか」という仮説を一生懸命説明した。
もちろんピタッとハマる英語がスラスラ出てくるはずもなくボロボロの英語だが、彼はその度に適切な言い回しを提案してくれるので何とか言わんとすることは伝えられた。
そうなのだ。
日常会話はもちろんだけれど、僕はこういう自分の意見を相手に正しく伝える訓練をしたいのだ。
やがて行われるクラスディスカッションではこういう能力が必要とされるだろうから。
もちろん、「でも真夏にクリスマスを迎えるオーストラリアではサンタクロースがサーフィンに乗って海からやって来るらしいけどね」と笑いをとるのも忘れなかったが。
後半はJohn先生が提示するイディオムを使って自由に文章を作る練習。
例えば「make the most of」「not just because」「evry other」「in a row」といった表現。
彼の説明や例題が日常会話にすぐ応用できそうなものばかりだったので、思ったより退屈しなかった。
3時間はあっという間。
いくつかのイディオムを使った文章を作ってくることという宿題が出されたけれど、これは楽勝だろう。
金曜日の授業も楽しみだ。
1月7日(木)
午前9時起床。
宿題をとっととやっつけて、ゆっくりと読書にひたる。
夕方、篠原さんから電話があって土曜日にダウンタウンのコンベンションセンターで開催されている「Los Angeles Auto Show」を見に行くことにした。
日本にいるときは「東京モーターショー」を毎回欠かさず見に行っていたが、海外のショーを見に行くのは初めてだから楽しみだ。
「文明の衝突」残り150ページ。
英語の文章もこのくらいのスピードで読めるといいんだけどなぁ。
1月8日(金)
午前9時起床。
GEOS2回目の授業だ。
まずはLos Angeles Timesの記事の写真を見せられて「これは何のニュースだか知ってるか?」という質問から。
写真はクリントン大統領の弾劾問題を審議する上院の写真だったからもちろん知っていた。
テレビやラジオでも毎日のようにくり返しているニュースだから、impeach「弾劾する」という単語もすっかりおなじみだ。
がしかし、その概要を自分の言葉で説明しようと思うとなかなか骨が折れる。
さらには「コンピュータの2000年問題が騒がれているが、実際にどんなトラブルが起こると思うか?」という質問。
これは僕の専攻に合わせて用意してきたテーマに違いない。
銀行の利子計算や航空機の飛行スケジュールが混乱する可能性などを例に出してこれまた必死で説明する。
授業と言っても堅苦しい雰囲気ではなく、話題はテーマから横道にそれまくり、それがまた楽しい。
John先生と話していてしみじみ感じたのだが、やはり気の置けないネイティブの友人が欲しい。
ただ話しているだけで自分の耳が鍛えられていく実感があるのだ。
もちろん、話す力もついてくる。
クラスメイトもいるにはいるが、僕のふがいない英語につきあってもらうのはちょっと心苦しい。
できれば僕の知識や経験、あるいは日本、日本語に興味があってgive and takeができる関係。
相手が僕から得るものがあると思えばこの心苦しさも半減するはずだと思うから。
来学期はなんとかそういうチャンスを作りたいと思う。
ところで、掲示板で話題になった英語についてJohn先生に聞いてみました。
まずは「totally」。
彼によると、この単語自体は方言ではなく全米で使われているとのこと。
ただし10年ほど前にL.A.の女子高生たちが意識的に多く使ったので(意味は変わらずに)一種の流行語のような色彩を帯び、なんとなくL.A.発の匂いがあるのは間違いないとのことでした。
次に「later」。
確かにL.A.で「See you later」の意味で「Later」を使うことはあるそうです。
「全国放送のテレビでは使わないからL.A.の方言と言ってもいいだろうね」とのことでした。
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