「Los Angeles留学日記」

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「Los Angeles 留学日記」

大学院99年春4
(1999年3月1日〜)

3月1日(月)

昨夜から朝にかけて怒濤のリーディングでNew Direction in Electronic Mediaのテキストを一気に55ページ読破!
どうしても夜中の方が集中できるんだなぁ。

著者が言いたいのは要するに、
「ニュース、政治、宗教、教育の各分野でテレビの影響力が大きくなっている」
「テレビはエンタテイメント・メディアだから瞬間的、感覚的、ビジュアル的、ドラマ的に物事を扱い、必ずしも本質を伝えるとは限らない」
「よって、テレビに毒された我々の文化自体が空洞化する恐れがある」
ということらしい。

明日の授業ではこのリーディングをベースに議論が行われる。
そして、僕は教授の好意でディスカッションの最初に発言させてもらえることになっているのだ。
自分の意見を述べた上で、その後の議論につながる問題提起をしなければなるまい。

「自分が番組を作ってきた経験から言うと、ニュースも『視聴者の興味関心を引きつける』という点でエンタテイメントに他ならない」
「しかし、エンタテイメントであることは必ずしも悪いことではないと思う」
「難解なことを理解しやすい形で万人に提供するのはテレビの意味ある特徴だ」
「テレビ=文化全体ではない。他のメディアと互いに補完しあうコミュニケーション形式の1つなのだ」

と、こんなことを簡単な英作文でメモにまとめてみる。
情報の受け手のリテラシーの問題なんかも言いたいけれど、最初からそこまで言っちゃ飛ばしすぎだよな、と自粛。
議論の中でチャンスがあったら言えばいい(んなことできるのか(笑)!?)。

本来は議論の最中に数秒間で反射的にやらなきゃいけないことなんだよなぁ。

3月2日(火)

午前9時起床で学校へ。
New Direction in Electronic Mediaの授業だ。

授業の最初に指名されるのが分かっているので少々緊張気味。
こんなことで緊張していたら身体がいくつあっても足りないのだけれど。
教授が教室に入ってきて、今か今かと待っていたら、今日のプレゼンテーションを担当するクラスメイトがペーパーを配り、さっさとスピーチを始めてしまった。
ってことは、僕の発言はこのプレゼンの後だな。

今日は「テレビはテクノロジーとして、そしてメディアとして我々の相互コミュニケーション能力にポジティブな影響を与える」というのがトピック。
Roniが賛成、Kristinが反対の立場からスピーチする。
先週も感じたのだけれど、学生のスピーチは教授の授業より英語が聞き取りにくい。
発音のクセが分かっていなかったり、表現がくだけていたりするのがその理由だろう。

2人のプレゼンが終わりいよいよだぞと思った瞬間、Kristinが「Any comment or question?」と一言。
数人のクラスメイトがその言葉に反応してしゃべり始め、教授の指名を待つまでもなくディスカッションがスタートしてしまった。
おいおい、まずは僕が口火を切るはずなんだよ、と思っても、彼らはそんなことを知る由もない。
教授の方をチラッと見ても僕に話題を振ろうという素振りは全くない。
この裏切り者!(笑)

しょうがないので議論を聞いていたら「同じ番組を見た人とは共通の話題で盛り上がれる」なんていう話を真顔でしている。
おいおい、もっと他に語ることがあるだろうよ。
我慢できなくなり、思い切って手を挙げる。

「同じコミュニケーションでも視聴者と制作者の間のコミュニケーションもある。制作者はオンエアの翌日に分刻みの視聴率表を受け取るけど、それは視聴者からの最大のフィードバックなんだ。制作者はそれに応えるメッセージとして次の番組を作る。だから見ている番組がつまらなかったらテレビのスイッチを切るという形で制作者にメッセージを送らなきゃいけない」

事前に準備していたわけじゃないから英語はメロメロ。
言いたいことの半分も伝わっただろうか。
しかも、議論の流れを完全にぶっちぎっている(笑)。

そこへGotthiffer教授の優しいフォロー。
「Hiro、日本ではsweepはいつなんだ?」
sweepという単語が分からなかったので聞き返すと、どうやら番組改編のことを言っているらしい。
つまり、視聴者が「つまらない」というメッセージを送ってきた番組を入れ替える機会はどのくらいの頻度であるのか、ということを聞いたのだろう。

「4月と10月に大きいsweepがあります」
実際はプロデューサーもディレクターも放送作家もオンエア翌日には毎分視聴率グラフを綿密にチェックして、すぐ翌週の番組をテコ入れするのだけれど、残念ながらそこまで細かい説明はできなかった。
ああ、ふがいないよなぁ。

授業後、教授が「Hiro、いい発言だったよ。できるじゃないか」と一言。
教授は僕に対して甘いから話半分で聞いておくとして(笑)、自分でもまあまあ満足だ。
クラスメイトに対しても「ヘンな英語を話す日本人がいる」というプレゼンスを示しておけば、今後の発言がやりやすくなるだろう。

帰宅後、出願エッセイに手を入れて先週Gotthiffer教授が紹介してくれたUSCの教授にメールを書く。
本当は先にやらなければならないことがいくらでもあるのだけれど、あまり間をおいて忘れられちゃうのも困るもんな。
いきなりエッセイを送りつけるのも失礼だろうから、本文をwebサーバに置いてそこへのリンクをメールに書いておくという方式だ。

「Gotthiffer教授は十分に出願資格があると言ってくれていますが、問題はGPAが足りないことなのです。僕のエッセイを読んでアドバイスをいただけませんか?」
さて、教授は僕のエッセイを読んでくれるのか?
そしてどんなリアクションが返ってくるのか?
まるで自分のことじゃないように返事が楽しみだ。

3月3日(水)

午前10時起床。
遅めの朝食の後、Macに向かう。

今日の課題はテキストリーディング40ページ。
だが、Directorのマニュアル本なので週末よりは負担が少ない。
分かりにくいところがあったら日本語のマニュアル本に当たればいいのだから。
それにテキストを読みながら実際にソフトをいじっているのはなかなか楽しい。

今学期はLingoというスクリプト言語の理解が前半の山場。
本格的な(?)プログラミングをやるのは初めてなのだけれど、改めてコンピュータというのは理詰めなのだなぁと感じる。
僕が将来プログラミングを専業にすることはないと思うけれど、コンピュータがどんな命令体系で動いているかを理解することはきっと意味のあることだ。

自分のイメージをカタチにする時、それがどんな技術を使えばできるのか知っていることによってチームメイトとのコミュニケーションが格段に深まり、イメージをより正確に伝えられるに違いない。
技術の話もできるエンタテイメント職人。
それが僕の目指すところだ。

夕方、明日帰国するNobuの送別会のため、Marina del ReyのSouplantationへ。

ここはサラダ、パスタ、スープの食べ放題レストラン。
ディナータイムでも1人$7.48(割引クーポンを使えば$6.48)でデザートまで好きなだけ食べられる。
今日もクラムチャウダーをおかわりして苦しくなるまで食べまくった。

Nobuに別れを告げ、帰宅後引き続き宿題。
なんとか課題の範囲はクリアした。
ああ、今日は少し早めに寝られそうだ。

3月4日(木)

午前9時起床で学校へ。
Computer for New Mediaの授業だ。

今日は先週の宿題となっていたDirectorムービーの発表。
1つの画面に3つ以上の動くキャラクターを配置し、Lingoでその3つを別々に制御するというのが課題だった。
他のクラスメイトが誰も名乗りでないので僕とJamesが最初のプレゼンテーション。
一通りの動きを見せてから、それらがどんなスクリプトで制御されているかを説明する。

実は、このスクリプトは僕が苦し紛れにひねり出したもので、おそらく教授が求めているものとは違う。
どうしてそんなスクリプトを書いたのかという質問に一生懸命答えたら、教授はその独創性を評価してくれた。
ただ1つの正解があるという類の問題ではないからある程度の点はもらえると思っていたが、それにしても苦し紛れの答えに対してオリジナリティーを称えてくれるというのはアメリカらしいなぁ、と感じた。

僕らのプレゼンが終わっても他のチームは誰一人出てこない。
なんと、他のチームも全員が僕と同じところで行き詰まり、誰一人それに対する解決法を見つけ出せずにいたのだった。
つまり、今日の授業で発表できたのは僕らのチームだけ。
苦労してマニュアル本を読み込んだかいはあったというものだ。

後半の授業は来週のクラスで発表する課題の説明。
以前に配られているGotthoffer教授のゲーム企画書の中からワンシーンを抜き出して、それをDirectorムービーで作るというのが課題だ。
たった1週間しかないからそんな凝ったものは作れないけれど、少なくともLingoを理解しているというところは見せなければならない。
Jamesと役割を分担し、来週の授業の前に早めに集まって結合することにした。

続いてはEnglish Conversation Class。
今日はそれぞれが母国の歴史について話すことになり、韓国出身の女の子が口火を切る。
「私たちの国はかつて日本に占領されていました…」

もちろん、彼女に悪気は全くない。
さっきまで雑談で「ハラジュクのストリートで若者がやっているパフォーマンスについて教えて」と今はなき歩行者天国ライヴのことを僕に聞いていたくらいだから日本に対しての知識や興味もあるのだろう。
そんな彼女が母国の歴史を日韓併合から語り始めたのだ。

僕はどうしていいか分からなかった。
別に日本を代表して来ているわけじゃないからそんなにナーバスになる必要もないといえばないのだけれど、とっさに口をついて出た言葉は「I'm so sorry about that」だった。

「そんなつもりで言ったんじゃないのよ」と彼女は逆に恐縮する。
隣に座っていた中国人は「日本と韓国と中国は同じ戦争を経験しているけれどそれぞれ異なる解釈を持っているんだ」と他の国の留学生に説明している。

L.A.に来てからアジアの友人がたくさんできたけれど、戦争の話になるたびに複雑な気持ちになる。
きっとこれからもそんな瞬間がたびたびおとずれるだろう。
そんなとき、僕はいったいどんな言葉を発すればいいのか。
適切な言葉はまだ見つかっていないような気がしている。

3月5日(金)

午前7時起床で学校へ。
いよいよSPICEのスピーチの日がやってきた。

プレゼンテーションが行われるのはGeology300環境地質学の教室。
約25人の学生が座っている。
スピーチをするのはRoopaさん(インド)、Anna(ロシア)、そして僕の3人。
RoopaさんもAnnaもSPICEのベテランで、先学期はなんと50回以上のスピーチをこなしたという。

先輩の2人がそつなくスピーチをこなした後、いよいよ僕の順番。
人前でしゃべること自体は苦じゃないけれど、心配なのはやはり英語だ。

インターネットで見つけてきた環太平洋造山帯のスライドを見せながら「日本は火山の真上に横たわっているようなもので、住むには大変危険な国です」というところからスタート。
さすがは地質学のクラスだけあって何人かの学生がうなずいている。
僕の英語はちゃんと伝わっているみたいだぞ。

関東大震災の写真を見せながら、伝統的に木造建築が多いので地震に伴う火災が発生しやすいこと、毎年9月1日は防災の日で全国的に防災訓練が行われることなどを説明し、いよいよ阪神大震災のVTRへ。

クラス中が食い入るようにVTRを見ている。
まさにSeeing is believing。
その後の阪神大震災の説明はかなり関心を持って受け止めてもらえたと思う。

7分のスピーチはあっという間に終了。
その後の質疑応答では津波についての質問が出た。
英語でもTsunamiという日本語がそのまま使われているらしいと知ってヘンに感心したのだが、中途半端な知識しかなくてうまく答えられなかったのが残念だった。

もう一つ感心したのは、教室に聴覚障害の学生のための手話通訳ヘルパーがいたこと。
僕のスピーチと平行して彼女の手が表現力豊かに動いていた。
果たして僕のブロークンな英語はきちんと伝わったのだろうか?
ちょっと心配だ。

授業の終了後、教授が僕ら3人のところにやって来て「とても印象深いスピーチだったよ」と一言。
だが、僕は嬉しいというよりも肩の荷が下りてホッとしたというのが正直なところだ。
僕は来週の月曜日にも同じ教授、同じトピックでスピーチをすることになっている。
次はもう少しこなれた英語で余裕を持ってできるといいのだけれど。

3月6日(土)

午前10時起床。

SPICEのスピーチがなんとか無事に終わったので少し気が抜けてしまった。
洗濯しながらたまっていたメールに返事を書いていたら2時間。
これまたたまっていた新聞を読んでいたら2時間。
ボ〜ッとしているうちに時間がどんどん過ぎていく。

たがいつまでものんびりしているわけにはいかない。
今週末のやらねばリストは…

  • RTVF315 Think Piece「インターネットを何かに例えて説明せよ」プレゼンテーション原稿準備
  • RTVF461 CD-ROMプロジェクトDirectorムービーのデザイン
  • 「Los Angeles留学日記」CD-ROMのインデックス作り

今週はリーディングがないので少し楽かな。
しかし、2週間後に迫ったMidtermウィーク直前は忙しくなるのが分かり切っている。
できることは今から手をつけていかなければ…と思ってはいるのだが机に向かうとなぜか集中できない。
ああ、いかんぞ。
スランプか!?
いいや、宿題は明日から頑張ろう!

ということで(笑)、夜は仲間が集まって餃子パーティー。
Kaoruちゃんがお手製の餃子をふるまってくれたのだが、いつもながらこれが旨い!
L.A.でもこんなに旨い餃子を出す店はなかなかないぞ。
Kaoruちゃん、ごちそうさま。

餃子のあとは久々に朝までトランプの大貧民大会。
何もL.A.まで来てトランプすることないじゃん、と言うなかれ。
これがなかなか楽しいんだよなぁ。
第一、お金がかからないというのがいい(笑)。

そうそう、先日メールを出したUSCの教授からこんな返事が届いていた。

「修士プログラムディレクターのBill Dutton教授にコンタクトをとることをお勧めします。彼なら適切なアドバイスをしてくれるでしょう。あなたが幅広い経験を持っているということはステイトメントで分かりますが、英語としてぎこちない表現が見られます。提出する前に誰かにチェックしてもらうといいでしょう」

アハハ。
やっぱり慌てて書いたのがよくなかったかなぁ。
そっけない返事ではあるけれど、読んではくれたんだ。
こればっかりは学校のチューターに見てもらうわけにもいかないから誰かクラスメイトにチェックしてもらおう。
それからBill Dutton教授にメールだ。
さ〜て、どうなるかな。

3月7日(日)

正午起床。
いかん、寝坊だ!
今日はCD-ROMのデザインを担当して下さる金子さんの引っ越しを手伝いに行くはずだったのに。

慌てて電話するが不通。
もう旧居の電話をはずしてしまっているに違いない。
取るものもとりあえず、移転通知の住所を頼りに新居へ向かう。

引っ越しといっても旧居との距離は歩いて3分。
同じMarina del Reyでヨットハーバーに面しているというのも変わらない。

ところが、新居に着いても誰もいない。
ガラス窓からこっそり覗いてみると、すでに荷物の搬入も終わってしまっているようだ。
ううっ、不覚。
力仕事くらいでしかお役に立てることがないというのに…。

それにしても金子さんがいないというのはどういうことだ!?
借りたトラックを返しに行ってしまったのだろうか?
1時間ほどあたりをブラブラして時間をつぶすが待ち人来たらず。
「ごめんなさい」とつぶやいて帰ることにした。

今日のL.A.はいい天気。
車の窓を開けていると気持ちのいい風が入ってくる。
というわけで、Santa Monica Airportの近くで写真をパチリ。

部屋に戻ってきてCD-ROMプロジェクトDirectorムービーのデザインに取りかかる。
授業中に配られたゲーム企画書を元に作るのだが、僕の担当はゲーム全体の背景とレイアウト。
コンピュータ内部を探検しながら子供に2進法のしくみを教えるというものだ。

う〜ん、どうだろう?
絵心がないのでこういうのは苦手なのだ。
その分はプログラミングで勝負!(おっ、大胆な勝負に出たな(笑))
「0」や「1」のボタンを押すと白黒が反転したり、「Bus」ボタンを押したときに次の画面へ転換するつなぎに凝ったりと、デザイン以外のところに時間をかける。
うん、なかなか楽しいぞ。

結局、Macの前で10時間。
それにしてもたったこれだけのプログラムで頭がグチャグチャになってしまうなんて…。
改めて大作ゲームを作る人たちを尊敬してしまう。
やっぱり僕の仕事はどちらかといえば企画自体を考えることなんだなぁ。

チームを組むJamesがキャラクターをデザインして、木曜日の授業前にそれを組み合わせることになっている。
はたしてどんなものになるのか、楽しみ、楽しみ。

3月8日(月)

午後1時起床。
昨日作ったDirectorムービーを少し手直しする。

Jamesから「キャラクターのデザインはできたよ!」というメールが来ていた。
よしよし、順調だ。
あとは木曜日に共同作業すればいい。
どうせならキャラクターファイルもメールしてくれればよかったのになぁ。

3回目のプレゼンテーションに向けて、軽く原稿の手直し。
同じトピックで3回もやれば多少は自信みたいなものもついてくる。

というわけで、午後7時からGeology300環境地質学の教室でプレゼンテーション。

今回もやはり阪神大震災のVTRへの注目度が高い。
スピーチ終了後の質疑応答の時に「さっきのVTRの続きを見せて欲しい」というリクエストが出たほどだ。
教授からの要請もあったので約10分の延長戦。
ほとんどの学生がKobeという地名を知っていた。

アパートに戻ってきてRTVF315のThink Piece「インターネットを何かに例えて説明せよ」の草稿に取りかかる。
考えをまとめるためにまず日本語でメモを作り、全体の構成をたてる。

クリフォード・ストールは「からっぽの洞窟(原文ではSoluble tissue of nothingness=溶けやすい空虚なちり紙)」、立花隆氏は「どこでもドア」と例えたインターネット。
僕はそれを「パーティー」に例えることにした。

その心は「最大の楽しみは集まった人とのコミュニケーションである」という点。
参加者がそれぞれに知識や経験、情報という食べ物を持ち寄って自由意志で交換しあい、同じ興味関心を持つ友人を作るキッカケを提供する。
もちろん、時にはいさかいがあるという点も共通だ。
僕がこのホームページを通じて経験したこともそのままプレゼンテーションしようと思う。

さあ、これを英語にするぞと思った瞬間、強烈な睡魔が襲ってきた。
う〜ん、どうしよう…寝ちゃおうかなぁ…。

3月9日(火)

午前9時起床。
昨夜はあんなに眠かったにもかかわらず何故か目がさえて眠れなかった。
起きてはいるのだが、かと言って勉強する気力はないという最悪の状態。
結局3時間睡眠で学校に向かう。
ああ、一番集中力が必要な授業の日に限って体調が最悪だなんて。

というわけでNew Direction in Electronic Mediaの教室へ。
Gotthoffer教授は入ってくるなりプリントを配る。
Midterm Paperの課題発表だ。

「Aldous Huxleyによると我々の社会は娯楽(つまりテレビ)によってコントロールされている。一方、George Orwellはビッグブラザー(権力者)にとって都合のいい行為を強要される暗黒世界を想定している。テキスト『Amusing Ourselves to Death』の著者Neil PostmanはHuxleyの説に与しているが、キミ自身はどう考えるか? Huxleyの『Brave New World』、Orwellの『1984』、及びキミ自身の経験を参考にして、テレビが未来のユートピアあるいは暗黒世界をどのように形成するかを考察した5ページのレポートを書け。もし必要ならインターネットに関するビジョンを含めてもいいが、その分量は全体の20%を超えないこと」

テーマ自体は実に興味深い。
しかし、問題は参考文献を2冊も読まなければならないことだ。
実は数週間前の授業で指定されていたので「1984」については和訳本を日本から送ってもらうことになっている。
が「Brave New World」は残念ながら和訳が出ていない。
ということは英語で読まなければならないのだ。

〆切は2週間後。
時間に余裕があればじっくり読みたいところだけれど同じ日にプレゼンテーションもしなければならない。
読まなくても要旨は分かっているのだから何とかなったりするかな、なんて甘いことを考えたりもするのだけれど。

さて、前半の授業は教授の「いいテレビ番組の条件って何だと思う?」という質問からスタート。
クラスメイトが次々に手を挙げて発言していく。
いわく「楽しいこと」「退屈しないこと」「刺激的なこと」…。

おいおい、ちょっと待て!
そりゃ、つまらない番組より面白い番組の方が「いい」のは分かるけど、そればっかりじゃないだろうよ。
ひねくれ者の僕はつい反発したくなってしまう。
思い切って手を挙げて答える。
「信頼できること」「公正であること」

すると教授は笑って「おっ、優秀なプロデューサーみたいな発言だな」と一言。
その笑顔は評価されたからなのか、それとも皮肉の笑いなのか、僕には判断できなかった。

休憩をはさんで後半はプレゼンテーション。
「政府はテレビの内容を規制しすぎている。もっと制作者の手にゆだねられるべきだ」というトピックについてStaceyが賛成、Sethが反対の立場から意見を述べていく。

必死で耳をそばだてるのだが、もはや集中力の限界。
2人ともボソボソしたしゃべりなのでなおさら聞き取りにくく、内容が3割くらいしか理解できないのだ。
時々教授が僕に発言を求めるような視線を投げかけてくるのだが、いったい何を言えばいいのか見当もつかない。
理解できなければ議論に参加できるはずもなく、結局、後半は一言も言葉を発することなく授業が終わってしまった。

クラスメイトのMarikoちゃんとMakiちゃんに聞くと「確かに今日のスピーカーは聞き取りにくかった」と言いつつも、ほぼ100%理解できていたという。
くやしかった。
2人とも何年もアメリカで生活しているのだから当然のことなのだろうけれど、僕は自分の耳がどうしようもなく腹立たしかった。
ちょっと寝不足になっただけで性能がガタ落ちしてしまう、このバカ耳め!

学校からの帰り道、僕は心地よい音楽を流すFM局からマシンガンのように英語をしゃべり続けるAMのニュース局へとカーラジオのチャンネルを切り替えた。

3月10日(水)

午前11時起床。
授業がない日にこんなに遅くまで寝ているから生活のリズムが狂っちゃうんだよな。
分かっちゃいるけどやめられない。

本日のブランチはスパゲティー。
こちらのスーパーでは何故か日本でいう「ミートソース」を見かけない。
たまには「カルボナーラ」も食べたいのだけれど、瓶詰や缶詰で売られているのはほとんどがトマト系のソースだ。
ということで今日は挽肉とタマネギのみじん切りを炒めたものにトマトソースを混ぜたミートソースもどきを食す。
うん、出来はまあまあかな。

食後、インターネットでプレゼンテーションのためのデータ集めをしていたら篠原さんがお客さんを連れてやって来た。
かつて語学学校で篠原さんたちと机を並べていたという元留学生Kimikoさん(人妻)。
日本に帰国後このホームページを偶然見つけて読んでいたら知り合いの名前が続々出てくるのに驚き、L.A.に遊びに来たついでに書いてる人の顔を見てみたいと訪ねてくれたのだ。
彼女いわく「想像よりも柔らかい感じですね。もっと厳しい人かと思っていました」
そんなに厳しいこと書いてるかなぁ(苦笑)。

2人が帰った後、「インターネットはパーティーだ!」というプレゼンテーションの原稿書き。
日本語の構成メモはできているので作業はなかなか順調に進み、夜までにレターサイズで2枚の原稿が完成した。
教室での発表は23日。
その前に誰かに英語をチェックしてもらわなくては。

実家からの定期便の中にゲームソフト「ファイナルファンタジー8」が入っていた。
ううっ、やりたい。
でも、やり始めたら勉強が手につかなくなるに決まってる。
せめてMidterm Paperのメドがつくまでは手を出しちゃいかん!
と思いつつ、ついオープニングムービーだけ見てしまった。
こりゃ、すごい!

はたして僕はこの悪魔の誘惑に勝てるのだろうか?

「大学院99年春3」  「大学院99年春5」