「Los Angeles 留学日記」
CD-ROM付き書籍出版への道2
「Los Angeles留学日記」がアルクからCD-ROM付き書籍として出版されることが決まりました。
このコーナーでは実際に本が出来ていくまでを公開し、読者のみなさんとそのプロセスを共有していきたいと考えています。
あなたもぜひご参加下さい!
2月16日(火)
金子さんにお願いしたイメージグラフィックがメールで届く。
昨日お願いして今日できちゃうなんてすごいよなぁ。
  
思わず笑みがこぼれてしまった。
金子さんが言ってた「手作り風」っていうのはこういうイメージだったんだ。
悪戦苦闘の日記に一服の清涼感っていう感じでいいよなぁ。
もちろん、正式なアイコンや飾りはこれからということになるけれど、こういうイラストがあるだけでずいぶんイメージが広がる。
さっそくアルクが用意してくれたFTPサーバにアップして安藤さんにも見てもらうことにしよう。
2月19日(金)
古い日記を読み返して加筆訂正の作業を始める。
寝不足の日に限って誤字脱字があったりするんだよなぁ。
当時の思い出がリアルによみがえってきて自分でもすごく懐かしい。
ページ数の関係で収録できるのは「夏休み編」くらいまでだろうということなので、とりあえずそこまで。
自分では一通りチェックしてみたつもりですが、もしヘンなところがあったらぜひ教えて下さいね。
よろしくお願いします 。
2月20日(土)
安藤さんが送ってくれたReal System G2の資料が到着。
さっそく読んでみた。
どうやら、現在ホームページ制作の主流になっているHTML(Hyper Text Markup Language)が進化したSMIL(Synchronized Multimedia Integration Language)を取り入れて、テキスト、静止画、音声、動画を同時に扱えるというものらしい。
残念ながらMac版のReal Playerは僕の環境では起動できず確かめることができないのだけれど、これはすごそうだ。
要するに文字通りのインターネット放送。
今回のCD-ROMをこれで作るということはごく近い将来のインターネットを先取りできるということになる。
めちゃくちゃ興味が沸いてきた。
2月21日(日)
安藤さんから電話をいただき、今後の作業の打ち合わせ。
●オープニング/トップページ:
ビジュアルデザイン・Directorファイル作成→金子さん
サウンド→篠原さんの友人
●CD-ROMコンテンツ:
オーサリング(G2:SMIL書き)→編集部
ロゴ・グラフィックなどの飾り→金子さん
サウンド→篠原さんの友人
テキスト・画像・ムービーなどの素材提供→僕
という作業分担を確認する。
改めてReal System G2についての説明を聞くと、やっぱり面白そうだ。
とりあえず200枚近いデジカメ写真をFTP経由で送り、G2のフォーマットが決まったところで再び相談することにする。
CD-ROMには「夏休み編」以降の分も収録できるかもしれないということなので、近いうちに残りの日記もチェックしなければなるまい。
今のところ動画素材はないので、フォーマットが決まったところで何を撮影するか決め、収録することになるだろう。
ところでReal System G2にはMacromedia Flashのアニメーションをそのまま画面に取り込めるという。
金子さんのDirectorムービーをFlashファイルにコンバートするなんてことはできるのだろうか?
こういうところの知識が全くないんだよなぁ。
ああ、やることがいっぱい。
宿題なんてやってるヒマはないんだけどなぁ(笑)。
2月23日(水)
金子さんからオープニングムービーのイメージについてメール。
> オープニングムービーのアイディアですが、まず、アメリカの地図から始まり、
> カーサーでカリフォルニアの位置をクリックすると、カリフォルニアの地図にズームし、
> LAの位置をクリックすると、両側にやしの木が生えているいかにもロスという感じの通りを
> 車を運転している時の角度で見て、最後にカメラが真っ青な空にパンして、
> 本のタイトルロゴが空に浮かぶ、というのはどうでしょう。
> カーサーでクリックするところは、ホームページであることを表現すため、
> コンピューターの画面に見せてかけてももいいかもしれません。
> そして、通りを見せる時は、ビルボードを通りの横に並べて、
> 鈴木さんのホームページからの写真をそのビルボードに載せ、
> 何かの宣伝文句に似せて鈴木さんのホームページの宣伝文句を載せるというのはどうでしょう。
おおっ、素晴らしい! カッコ良すぎる!
あっという間にイメージが沸くじゃないか!
しかも金子さんの場合、これを3Dグラフィックにできるという技術の裏付けがあるのだ。
さらに、
> カーサーでのクリックの部分は、この本がもともとホームページから生まれたものであることを意識しています。
なんていうコンセプトまで考えて下さっているのがニクイ。
もう文句なしにOK!
「ぜひそれでお願いします!」と返事をしたのだった。
2月24日(木)
編集の安藤さんから電話。
まずはオフラインでの検索機能について。
技術的にやっかいな部分があるけれどなんとかチャレンジしたいとのこと。
時系列の日記の他にキーワード検索やテーマ別インデックス、その上画像にもキーワードを付けて検索できるようにしたいとおっしゃってくれた。
これでみなさんからご提案いただいた「テーマ史」や「トラブルシューティング」も可能になるはずだ。
そのためには毎日の日記にキーワードを設定する必要があり、3月中旬までに僕がやることになった。
次に動画について。
「日記に連動したアメリカ生活の立ち上げシミュレーション」的なムービーがあったらどうかというご提案をいただいた。
例えばアパート探しや電話回線を引く手続き、銀行口座を開く手続きなどだ。
その他にハンバーガーショップでのやりとりやガソリンの入れ方といった実用的なもの、さらにキャンパスの様子やL.A.の観光ガイドとなるようなものも入れたいということで意見が一致。
できるだけ早く僕が具体的なアイデアをリストアップして、相談した上、3月末に撮影しようということになった。
もちろん中には撮影許可がとれないものもあるかもしれないが、できるだけ頑張りたいと思う。
主眼は完成度の高い映像というよりもリアルな生活感。
撮影には映画学科の篠原さんに協力してもらおう。
そして今日はこれが英語で言えなかったのコーナーを書籍版の中にコラムとして入れたいというご提案。
読者の方から「あのコーナー、すごくいいです」というメールをよくいただく人気コーナーだけに僕も大賛成。
ページ数の関係でメール引用部分は無理だけれど、その分、ネイティブの人が内容をチェックしてくれるという。
ありがたいことだ。
それから、タイトルロゴとCD-ROM版日記の背景について。
オープニングムービーと平行して金子さんに作っていただくことになった。
このロゴは書籍版の装丁にも使う予定とのこと。
さっそく金子さんにお願いする。
最後に、なんと安藤さんと技術担当の方が来月L.A.に来て下さるという。
実際にお会いすれば細かい打ち合わせが納得いくまでできる。
動画の撮影候補も見ていただけるし、日記の舞台となった場所も説明できる。
今からすごく楽しみだ。
2月28日(日)
デザイナーの金子さんからタイトルロゴの第一稿が届いた。
う〜ん、いい感じ。
オープニングムービーの終わりにこれが空に浮かび上がるっていうわけだな。
さっそくFTPで送って安藤さんにも見てもらおう。
3月1日(月)
編集の安藤さんから電話。
まずは発行日について。
もろもろの作業に万全を期したいということで書店に並ぶのを5月中旬に変更したいとのこと。
僕としても時間的に余裕ができるのはありがたい。
次にCD-ROMのオフラインでの全文検索機能について。
いろいろ試行錯誤していただいたのだが、オフラインでこの機能を実現させるのは技術的にかなりヘビーだということが判明。
「全文検索をあきらめる代わりに詳細なキーワード検索を盛り込むことでどうか」というご提案だ。
技術的に難しいのならあきらめるしかない。
インデックスとなるキーワードを多めに設定して実用的な検索を用意したいと思う。
そして、アメリカ大学資料請求ページへのダイレクトリンクの件。
各大学の表紙ページのURLはめったに変わらないけれど、資料請求ページや担当者メールアドレスは予告なく変更されることも多いはずで、それをCD-ROMとして固定してしまったら結果的にリンク切れが多発してしまうのではないか。
だとすればいつでも更新できるWeb上に置いておく方がいいのではないかという僕の考えを説明したところ、基本的にご理解いただいて、今回のCD-ROMでは表紙ページへのリンクにとどめる方向で検討してもらうことになった。
金子さんのロゴデザインには「やさしくてよいですね。全体のイメージがまとまってきました」とのご感想。
こちらはこのままいけそうだ。
インターフェイスデザインのたたき台を作っていただいたのだが、なぜか僕の環境では文字化けしてしまって読めず、改めてWebサーバにアップしていただくことにする。
さらに、Real Player G2は相変わらずインストール不能。
誰かのWindows環境を借りて見なければならない。
う〜ん、マイノリティーはツライ(苦笑)。
3月6日(土)
CD-ROMに収録するムービー候補を検討する。
とりあえずは考えられる要素をリストアップして、相談の上絞り込むことになるだろう。
まず最初のテーマは「日記に連動したアメリカ生活の立ち上げシミュレーション」。
改めて日記の前半を読み返しながら具体的なポイントを挙げてみよう。
次にLos Angelesのタウンガイド。
観光スポットも含む街のランドマークだ。
- サンタモニカプレイス
- ロデオドライブ
- ビーチ(サンタモニカ、ベニスなど)
- マリナデルレイ
- グリフィスパーク(天文台)
- リトルトーキョー
- チャイナタウン
- コリアタウン
- ダウンタウン
- フリーウェイ
とりあえずこんな感じだろうか。
「ここがムービーで見てみたい!」というリクエストがあったらぜひお寄せ下さい。
できる限り頑張って撮影したいと思っています。
撮影機材はTomoyukiが貸してくれることになったし、監督を篠原さんが引き受けてくれた。
う〜ん、頼りになるなぁ。
3月9日(火)
安藤さんがL.A.にいらっしゃる前にたたき台としてWebサーバにアップされたReal Player G2画面を見ておきたかったので、Windowsマシンを持っているMikioさんの家におじゃまする。
フリーウェアのReal PlayerをWebからダウンロードしてアクセスすると…見えた!
僕が撮ったデジカメ写真のスライドショーが。
圧縮が効いているのだろう、そんなに待たされることもない。
スライドに合わせてキャプションが出てくるのは思っていたよりも効果的だ。
早くMac対応の正式版が出ないだろうか。
ムービーのロケ候補他について安藤さんからメール。
基本的には、ラインナップの中で可能なものをどんどん撮っていくという方向でいくことになった。
特に店員さんや窓口の人などとの会話が入るようなものを狙って欲しいというリクエストだ。
大きく分けると…
- これがL.A.だ!(空港や名所など)
- カレッジ・ライフ(キャンパス風景など)
- アメリカ生活シミュレーション:生活必須編(銀行・郵便局や各種手続き窓口などの生活必須要素)
- アメリカ生活シミュレーション:暮らし編(スーパーやレストラン、その他お店など)
- アメリカ生活シミュレーション:レジャー編(映画館やビデオショップなど)
- L.A.住宅事情(空室の看板、アパートの設備、内装など)
特に住宅事情については仲間たちが住んでいるアパートを片っ端から撮影してそれぞれのエリアや家賃情報などを盛り込んでいきたいと思う。
また、授業の様子を撮影するのは難しいかもしれないけれど、なんとか教授と交渉してみたい。
ビデオの編集についてはアルクさんの方でやってくださるということなので、とにかくこちらとしては少しでも多くのムービーを撮影することに集中しよう。
3月13日(土)
担当編集の安藤さんが打ち合わせのためにわざわざL.A.まで来て下さった。
手みやげは合計300ページ近く(しかもそのうち80ページは英語!)もあるReal Systemのマニュアルだ。
はい、しっかり勉強させていただきます(笑)。
デザイナーの金子さんと3人でCD-ROMの構成・デザインについて意見交換。
その手のセンスに全く自信がない僕は「ユーザーインターフェイスを分かりやすくしたい」というごく当たり前の意見を言うばかりで、あとはすっかり2人にお任せ。
2人とも今回のプロジェクトにノッてくれていて、すごく頼りになる。
金子さんのオープニングムービーも作業が順調に進んでおり、今月中には完成する予定だ。
合わせて本文テキストの背景やアイコンなど、CD-ROMのビジュアル面について意志統一。
やはりこういう微妙な感覚が絡んでくる場面ではお互いの顔を見ながらの打ち合わせの方が安心できると思う。
僕に課された宿題は、日記本文をテーマ別に読むためのインデックス作り。
このカテゴリーを決めなければ金子さんがアイコンを描くことができない。
できるだけ早く取りかからなくては。
もう1つのおみやげは書籍のゲラ刷り(校正用の原稿)。
僕自身、毎日モニター上で読んでいるはずの原稿なのにそれが紙に印刷されているのを見るのは初めて。
文章自体は変わらないのに、媒体が違うと読む感覚が全く違う。
安藤さんとデザイナーさんが知恵を絞ってくれたレイアウトデザインは読むのが楽しくなるように工夫されていて、ちょっとした感動だ。
夜、我が家に遊びに来た仲間たちにもさっそく報告。
日記の本文に何度も登場しながら日本語インターネット環境がなく、これまで読むことができなかった仲間にも「こういう感じになるんだよ」と伝えることができた。
みんな、すごく喜んでくれたけれど、お礼を言いたいのは僕の方だ。
みんなの助けがなかったら僕の留学生活はもっともっと悲惨なことになっていたに違いないから。
改めてお礼を言うよ。
どうもありがとう。
これからもよろしく。
3月14日(日)
昨日に引き続き、担当編集の安藤さんと打ち合わせ。
今日はムービーの監督を引き受けてくれた篠原さんを交えての方向付けだ。
これまでにメールのやりとりで詰めたロケ候補は基本的に変更なし。
こればっかりはとにかくできるだけ撮影してみるしかない。
授業の合間を縫ってなんとか時間をひねり出さなければ。
CD-ROMの他に書籍部分でもたんまり宿題が出された。
- まえがき(1ページ)
- 導入記事(4ページ)
- 締め記事(4ページ)
- あとがき(1ページ)
- 本文内に挿入された写真のキャプション(いっぱい)
- 追加写真の有無などゲラをチェック
うわぁ、こりゃ、けっこうなボリュームだ。
Midtermのめどがついたら一気呵成に仕上げよう、と固く決意したのであった。

「CD-ROM付き書籍出版への道1」 「CD-ROM付き書籍出版への道3」
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