「鈴木さんにぜひ話を聞きたいっていう友人がいるんですよ。たまたまL.A.にいるので少し時間をいただけませんか?」
メールの主は中南米縦断の初日にメキシコ・ティファナの宿でお世話になった原田さん。
いろいろ教えていただいたお礼や旅の報告もしたかったので、出かけていくことにした。
話を聞きたいというのは日本生まれのアメリカ人、ジェイソンさん。
「日本の芸能界に興味がある。日本のテレビ業界について教えてくれ」というのが質問の内容だった。
実は、アメリカ人から同じような相談を受けたのはこれが初めてではない。
以前にも日本が好きで日本についてよく知っている日本通のアメリカ人数人から同じ質問をされたことがある。
CMモデルはもちろんのこと、俳優やタレント、政治経済の論客まで外国人が出まくっている日本のテレビは彼らにとって身近なチャンスに感じられるのだろうか?
もちろん、外国人だからといって出たい人が誰でもテレビに出られるわけではない。
視聴者に求められる芸やメッセージあるいはキャラクターを持っている人のうち、努力や運やコネによって選ばれた人がたまたまブラウン管に映っているわけで、キャスティング権のない僕に相談されたってできることはほとんどない。
外国人タレントのマネージメントで実績のあるプロダクションを教えてあげるくらいが精一杯だ。
お役に立てなくてすみませんなぁ。
夕方からCNNで大統領選の第1回テレビ公開討論会を見る。
1人でも多くの人にメッセージを伝えようとする政治家のスピーチは聴き取りやすく、リスニングの訓練にもってこいの素材なのだ。
先日行われた各党大会の大統領候補指名受諾演説ではブッシュ氏の方がスピーチがうまいと感じたのだけれど、今日のディベートではゴア氏の方が1枚上手に見えた。
クリアで分かりやすい英語と表現力豊かなボディーランゲージ、相手の批判の間に見せる余裕の笑顔、相手の主張の直後に一瞬で効果的な反論を滑り込ませるタイミングなどなど、ディベートのルールやテレビの特質を十分に研究したことがうかがわれる見事なプレゼンテーション。
党大会で「私は魅力的な候補者ではないが、全力を尽くして頑張る」と開き直っていた候補とは思えないスマートさなのだ。
政治とは本来、政策で正面から争うものだろう。
しかし、ケネディー大統領の例を出すまでもなく、テレビによって伝えられるイメージは有権者の投票行動を左右する力を持っている。
ディベートのテクニックはもちろん、政策の本質とは関係のない様々な要素がテレビというメディアを通して視聴者の心証を形成してしまうのだ。
今日の討論に臨む両候補のネクタイの色が奇しくも赤で同じだったのは、きっと両陣営が視聴者に与えるイメージを研究した結果だったに違いない。
そういう意味では外国人タレントも大統領候補も同じ。
視聴者をentertainする能力に長けた者こそがテレビというメディアを最大限に活用できるのだ。
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