Devising Effective Digital Strategies, Hollywood Style: A One-Evening Forumの授業へ。
講師は冬学期の授業でもお世話になったSteve Bradbury氏。
元MGM Worldwide Telvision副社長で、オンラインマガジンCyberStuffの編集長だ。
今回の自己紹介ではeSpotsWorldのVice President兼Content Chairという肩書が増えていた。
ドットコム企業の淘汰が進む中、ちゃんと生き残っていたんだなぁ(笑)。
どうやら僕の顔を覚えていてくれたらしく、「やあ、久しぶり」と声をかけてくれる。
いつも通り講師もゲストスピーカーも現役のビジネスエグゼクティブたち。
まずはPrice Waterhouse CoopersのSaul J. Berman氏が「デジタル・エンタテイメントの未来」と題したプレゼンテーションを行う。
興味深かったのは「ネットビジネスは第2ステージに突入しており、第1ステージで言われていた“鉄則”が変化している」という指摘。
たとえば、かつては「コンテンツが王様」と言われていたが、新しい“鉄則”は「経験者が王様」。
単にコンテンツを提供するだけでは不十分で、そのコンテンツを通じてユーザーにどんな「経験」を提供できるかが大切なのだという。
RPGは「勇者になって悪を倒す」という「経験」を与えるし、ネットオークションは「自分の出品がいくらで売れるかドキドキする」という「経験」を与える。
エンタテイメントのクリエイターにはあるひとつの世界とルールを設定し、ユーザーを引きつけ、巻き込んでいく能力が求められるのだ。
かつてネットビジネスでは「ブランドが大事。誰よりも早くブランドを確立せよ」と言われていたが、新しい“鉄則”は「ユーザーは移り気だ。ローヤルティーはあてにするな」。
どんなに成功したオンラインエンタテイメントでも他にもっと魅力的なサイトが登場すればユーザーはすぐそちらに逃げていってしまう。
常に新しく魅力的な経験を与え続けることが必要不可欠なのだ。
もうひとつ「これまではコンテンツを作った後に売ることで利益を生んできた」が、これからは「コンテンツを作る前、そして制作中に利益を生み出す」というのが新しい“鉄則”。
集中していたつもりなのだけれど、細かいところがうまく聞き取れなかった。
「制作のプロセスをユーザーと共有せよ」というようなことなのかな。
面白そうな指摘だけに聞き逃したのが悔やまれる。
中盤は具体的なウェブサイトの分析。
あの「ブレアウィッチプロジェクト」のスタッフが手がけるFOXのテレビシリーズ「Freaky links」の予告編がよくできていて番組連動のウェブサイトが500万ページビューを記録した、なんていう話もあったが、僕が面白いなと思ったのはIPOcracy.comというサイト。
そもそもは政治的メッセージを伝えるのが目的らしいのだが、これが十分エンタテイメントしている。
「あなたも大統領に立候補できます」をキャッチフレーズに、簡単な質問に答えるだけでキャンペーンサイトやキャンペーンCM、さらにはノベルティーグッズ(さらにその通販ページも!)まで作ってくれるのだ。
パロディーもここまで徹底してくれると気持ちいい。
後半は再来週からのクラスの講師Chaz Austin氏やEMI Recorded Musicのニューメディア担当Vice President、Ted Cohen氏など5人のゲストスピーカーによるディスカッション。
話題はごく自然にNapsterやMP3.comによって変化を余儀なくされている音楽業界の将来像へ。
「若者層が音楽マーケットに戻ってきたのはMP3のおかげだ」
「音楽ファンはアーティストの名前でCDを買うのであってレーベルがどこかは関係ない」
「月に$25ほど払えば好きな音楽を好きなだけダウンロードできる定額制も考えられる」
「将来、CDというパッケージを持つことが貴重になり、その価値が高まる」
といった日本の音楽業界から見ると過激な意見が飛び交って、実に面白い。
全体的な理解度は65%くらいか。
このパーセンテージをもう少し上げられるといいんだけどなぁ。
余談だけれど、教室にいたもうひとりの日本人に「鈴木さんですよね? ホームページ、立ち上げの頃から読んでますよ」と声をかけられてびっくり。
嬉しいやら恥ずかしいやら、すっかり慌てふためいてしまった(笑)。
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