「The Street Fighters」(テレビ朝日系)のウェブ用原稿をやっつけて渋谷の映画館へ「マルホランド・ドライブ」を見に行く。
本当は「ロード・オブ・ザ・リング」も見たかったのだけれど、昨夜の「虎ノ門」で井筒監督が珍しく誉めていたのが気になったのだ。
「業界人必見」とも言ってたし(笑)。
デヴィッド・リンチ監督の作品といえばかつて「ツイン・ピークス」のビデオにハマって以来。
「マルホランド・ドライブ」もテレビドラマ用に作ったパイロット版がABCにボツにされ、フランスの資本によって映画としてよみがえったものだという。
見る前から分かっていた通り、ストーリーは難解。
というより、2つのパラレルワールドの境目があいまいに謎めかされていて、混乱してしまうのだ。
テレビシリーズで長時間かけて解明されていくはずだった伏線が2時間強の映画になることで濃密に凝縮されている。
もちろんそれも監督の計算で、そこがこの映画の真骨頂なのだけれど。
パイロット版で作った部分を最大限に生かすために考え抜かれた追撮部分が意図的な落差とギリギリの整合性でつながっている感じだ。
受け身で楽しむエンタテイメントというわけにはいかない不親切さ大爆発なのだが、それでも印象的なシーンがいくつも脳裏に焼きついて離れない。
作品自体の娯楽性は決して高くないけれど、その周辺の情報戦まで含めるとかなり楽しめる。
例えば、デヴィッド・リンチ監督が配給会社に「音量を通常より3デシベル上げて欲しい」「画面の上部が少しだけ切れるように上映して欲しい」とリクエストしてきたとか、1回で理解できなかった観客のために半券を持っていけば2回目は割引で見られるとか、エンドロールの最後に公式ウェブサイトのパスワードが表示されるとか。
本編が難解なのを逆手にとって謎解きのためのヒントがあちこちに散りばめられているのだ。
かくいう僕も久しぶりに映画のパンフレットを購入してしまった。
きっともう1回見に行っちゃうんだろうなぁ(笑)。
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