最近読んで印象深かった本を2冊。
「日本文化の模倣と創造?オリジナリティとは何か」(山田 奨治・著/角川書店)
テレビやラジオの企画はもちろん、その他の仕事でも、クリエイティブと名の付く作業では常に「オリジナル」が求められるし、僕らはいつも「これまでになかった新しいもの」を創らなくてはというプレッシャーの下で頑張っている。
が、実際に自分で100%納得できるオリジナルが実現できることはごくまれだというのが正直なところ。
いや、むしろ「どこかで見たことのある番組」や「よくある企画」が氾濫しているのも事実だ。
この本で著者は「類似性とはなにか」「模倣が中心だった西洋美術」「著作権の発祥」「連歌や本歌取りと日本文化の特徴」といった観点からオリジナルの価値を考察し、「独創」に代わって「再創」という価値観を提示している。
再創主義とは、ひとの創作をもとに楽しみながら何かを加えていくことである。さらにくだいていうならば、コミュニティで情報を共有し、先人のまねをして、共に栄えることが再創主義である。
オリジナルと寸分違わないコピーが簡単にできるデジタル時代になんらかの示唆を与える提案だと思う。
たとえばサンプリングやコラージュ写真がヘタなオリジナルよりずっと深く広く人の心を動かすことがある。
特に古典の素養を前提にした「見立て」というレトリックは創るのも鑑賞するのも個人的に好きだというのを認識させられた。
「これまでのビジネスのやり方は終わりだ」(リック レバイン、クリストファー ロック他 ・著/倉骨 彰・訳/日本経済新聞社)
先日読んだ「ゴンゾー・マーケティング」(クリストファー ロック・著/山形 浩生・訳/翔泳社)の著者も参加した、インターネットにおける企業コミュニケーションの問題点を指摘した本。
「ゴンゾー・マーケティング」よりはずっと読みやすかった。
いわゆる企業ホームページに載っている公式コメントやメッセージは消費者の心に届いていないのではないかという問題提起はまったく賛同できる。
たとえばテレビ番組のホームページなら出演者やディレクター、その他番組スタッフが肉声で語りかけなければ視聴者の共感を得るコミュニケーションはできないのではないか。
「荒らし」を恐れるがゆえに書き込みを検閲してからアップする掲示板に視聴者はホンネの書き込みをするだろうか?
「みなさんのご意見、ご感想をおハガキでお寄せ下さい」的なコミュニケーションはすでに死んでしまったのだ。
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