テレビのニュースがEMIとタイムワーナーの合併を繰り返し伝えている。
タイムワーナーといえばこないだAOLとの合併を発表したばかりじゃないか。
まったく、アメリカのエンタテイメント業界は再編成で騒がしい。
そのニュースを伝えているCNNもタイムワーナーグループなんだよなぁ。
夕方、Strategies for the Online Entertainment Gold Rushの授業へ。
タイミングよく、今日の授業は音楽業界について。
ゲスト講師はNational Association of Record Industry ProfessionalsのPresident、Tess Taylor氏だ。
当然のことながらEMIとタイムワーナーの合併が話題になり、学生がその音楽業界に与える影響について質問する。
が、しかし、どちらかというとTaylor氏は音楽ダウンロード販売の急速な普及を快く思っていない様子。
黙っていれば既得権益を新興企業に奪われてしまう既存音楽業界を代表する立場だから仕方ないのだろうけれど。
現在はレコード会社が90%のアーティストを押さえているが、楽曲のダウンロード販売が広がればアーティストがレコード会社と組む必要はなくなるかもしれない。
もしインターネットからブレイクしたアーティストが登場すれば状況は大きく変わるだろう。
「完全なコピーが容易にできるデジタルコンテンツの価格は限りなくゼロに近づく」というエスター・ダイソンの予言に音楽業界は相当な危機感を持っている、とTaylor氏は言う。
後半は2人のゲストスピーカーを迎えてのクラスディスカッション。
Checkout.comのDirector of Marketing、Doug Richen氏とMerveric RecordingsのHead of New Media、Jeremy Welt氏だ。
100%聞き取れたわけではないけれど(笑)、興味深いトピックがいくつかあった。
レコード会社はこれまでユーザーと直接コンタクトをとる手段がなかったということ。
小売店やラジオ局を通じて間接的にリスナーの反応を探ることはできたけれど、もしダウンロード販売を自ら手がけることになれば、そのルートができることになる。
また、CD製造と流通経費が必要なくなった場合、純粋な楽曲にいったいいくらの値段をつけるのが適当なのか?
アーティストが自力で販売できる時代にレコード会社と組むメリットとして何が提示できるのか?
マーケティングとプロモーション能力だけでアーティストを説得できるのか?
一握りの大物アーティストからあがる利益が多くの無名アーティストにかかる経費を支えているという構造は存続可能なのか?
議論を聞いている限り(聞いているだけというのがちょっと情けないけれど…)、2人のゲストスピーカーも確たる答えを持っているようには思えない。
もし持っていたとしても、データ圧縮や電子透かしなど技術の進展によっては構図がガラリと変わってしまう可能性もあるのだ。
何が変わって何が変わらないのか、正解は誰にも分からない。
そこがマルチメディアの面白いところなんだよな。
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