先日あるコンサートに行ったときのこと。
たいして大きな会場でもないのに入口に長い行列ができていた。
なにかと思えば「盗撮」防止のカメラチェック。
コンサート会場にカメラを持ち込ませないというのはかなり前から普通だったから驚きもしなかったのだけれど、「カメラ付きケータイ」がチェックされ、持っている人はクロークに預けなければならないというのは初めてだったのでビックリした。
「カメラ付きケータイ」とはいえカメラの機能や解像度がどんどん進化して一昔前のデジカメ並みになっていることを考えれば、アーティストの肖像権を守る立場からすればごく当たり前の措置なのだろう。
だが、クロークに預かり証の番号札を付けた携帯電話が数百台並んでいる光景を見た僕は若干の違和感を覚えた。
これが小さい会場ならまだ問題は少ない。
しかし、「カメラ付きケータイ」の販売台数はすでに1500万台。
すでに全携帯電話の5台に1台はカメラ付きなのだ。
携帯電話の多機能化はさらに進むだろうから、近い将来、ほとんどの端末にカメラが搭載されることだって考えられなくない。
そうなると、どうなるか?
たとえば日本武道館なら1万人が、東京ドームなら5万人がクロークに携帯電話を預けなければならなくなるかもしれない。
「コンサートに行く日はカメラを持ち歩かない」というのはあり得ても「コンサートに行く日は携帯電話を持ち歩かない」というのを強制するのは非現実的だろう。
会場入口の混乱ぶりが目に見えるようだ。
そういえば、少し前にあるタレントさんがこんなことを言っていた。
「最近、街で突然ケータイを向けられることが多いんだよ。なにかと思ったらカメラ付きで写真撮ってるんだね。コワイ世の中になったもんだよ」
また、あるタレントさんは以前にコラージュされた自分の写真がインターネット上で流布されて以来、番組ホームページ用の写真でさえ誰だか分からないロングショットか横顔しか撮らせてくれない。
スキャンダルの発覚を恐れる有名人は以前なら写真週刊誌のカメラマンさえ気をつけていればよかったのが、今は「1億総パパラッチ状態」なのだ。
タレントさんだけではない。
我が畏友・橘寛基ディレクターがスクープしたように、個人が「カメラ付きケータイ」で撮った写真をインターネットで公開したことによってあの「ドラゴンクエストVIII」の発表が早まらざるを得なかったなんていう事態まで起こっている。
これまで情報をコントロールする側にいた人たちは、これを由々しき事態と考えるかもしれないが、僕はなんだか愉快で可能性を秘めた動きに感じられて仕方がない。
もちろん、肖像権や名誉毀損といった問題は何らかのルール作りや歯止めが必要だけれど、それよりこの草の根パワーを生かすことで新しいメディアやコンテンツが生まれてくるのではないだろうか?
「1億総パパラッチ」
そんなコンセプトのエンタテイメントもありだと思いません?
これ、日記才人(にっきさいと)の登録ボタンです。いつもその1票に励まされてます。
|