相変わらず読書三昧の日々は続いている。
「テレビゲーム文化論?インタラクティブ・メディアのゆくえ」(桝山 寛・著/講談社現代新書)
メディア・プロデューサーの著者が、テレビゲームの社会に対する影響を考察した評論集。
ゲームの歴史や特性をふまえたメディア論になっていてインスパイアされるところが多々あった。
精神分析が明らかにしているように、ヒトは、動物と異なり、物理的な意味としての現実だけでは生きてはいけない。文化や物語という一種の疑似現実を借りて、その生を安定させているのである。テレビゲームとは、それを体験させるために発明されたひとつの手段(メディア)に過ぎない。
ユーザーがメディア環境からどのような影響を受けるかは、そのコンテンツよりもむしろ、誰とどのような状況で接したかという「受容文脈」が重要である。
世界にも類を見ない工業化社会を作り上げた日本では、遊びや娯楽、楽しみといった用語が、なかなかニュートラルに通用しない。これからは「楽しさ」が社会の規範になると主張しても、どうも真剣に取り合わない傾向があるように感じる。しかし、世の中はすでにシフトしてしまっている。
少年犯罪が起きるたびに「テレビゲームの悪影響だ!」とわめく“良識派”にこそ読んでもらいたい本だ。
「デジタルを哲学する」(黒崎 政男・著/PHP新書)
哲学者である著者がインターネットなどデジタル情報社会を“アナログな立場”から考察した評論集。
個人ホームページを「物書きのカラオケ化」にたとえるなど観点の面白さはあるものの、全体的にネガティブな姿勢に貫かれていて、共感できなかった。
「立花隆秘書日記」(佐々木 千賀子・著/ポプラ社)
その名の通り、“知の巨人”立花隆氏の秘書を5年間務めた著者が立花氏の日常を振り返ってまとめた本。
僕も含めて読者の9割以上は立花氏の文章がどんなプロセスを経て生まれるのか、そのプロセスや舞台裏を知りたいと期待してこの本を手に取ると思うのだけれど、その点は今ひとつ食い足りない感じ。
もし僕が担当編集者だったら、そこをもっと細かく書いてもらうのになぁ。
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